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2013年2月24日 (日)

日本語の母音

 BOOKOFFでたまたま井上ひさしが著した「日本語教室」(新潮新書)をつけて買ってきた。井上さんが母校の上智大学で行った4回の連続講義をそのまま文字化したものである。受講者が面白いと思ったところで(笑)というものも入っている。読みやすくて興味深い本である。

 「日本と日本語、母語と脳の関係、カタカナ語の弊害、東北弁標準語説、やまとことばの強み、駄洒落の快感・・・・」(本の帯)など、彼一流の皮肉やユーモアがあってスーッと読めた。

 私は、外国人に日本語を教えているので日本語には当然関心がある。参考になるところもいろいろあった。その中から母音関係をとりあげる。

 日本語の母音(vowel)はアイウエオの五つしかないことは誰でも知っているところだと思う。世界の言語では、母音の数はまちまちで、この本で例として書いてあるのは、次のようである。

 米語→32、英語→31、(何故か米語の方が1つ多い。maryの発音は英語ではメリーだが米語ではメアリーとなるときの、エアがそれなのだという)

 一番少ないのは、アラビア語の3つである。フランス語13、スペイン語5、で同じラテン語系でも違いがあるのだ。ハワイ語も5、トルコ語は8だそうだ。

 日本語は「ン」以外の音は必ず母音で終わる。インドネシア語など東南アジアの語も同じだとは知らなかった。

 アイウエオを発音するとき、アは口を大きく開けて明るく発音される。しかし、音が作られる場所はイが一番入口で、イエアオウの順に奥になっていくのだという。だからアは3番目ということになる。

 ウは一番奥で出されるので、相当力を入れないと駄目だという。苦しむときは「うー」とか「うっ」とか発音される。「あー」とか「いー」とかで苦しみは表現できない。

 「住友銀行」のように「す」で始まる音は音が出てくるときに途中で消えてしまうので、どんな名優でも舞台では客席に届かないそうだ。だから井上さんは脚本を書くとき、そういう配慮もするのだ。銀行の名を使う時はいつも三菱銀行にするという。「イ」が3つ入っているからよくとどくのだそうだ。

 ふだん母音などに気を使ったことは一度もないが、脚本家はそういうことまで気を付けていることを知り感心した。

 私の合唱団の指揮者は、常々、「語頭に気を付けるように。特に子音のk、h、s、n、t・・など」と言われる。歌っていて子音(consonant)がはっきり発音されないと言葉が聞こえないのだという。日本語は語気が弱く発音されるからさもありなんと思う。

 日本語教室 (新潮新書)

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コメント

 確かに英語は語頭の子音でも語尾の子音でもしっかりと発音しないといけないですね。ネティヴの発音は語気が鋭いですね。

日本語の母音の少ないことが、母音の多い英語の発音の区別がつかず、聞きとれない原因なのでしょうね。例えばhatもhotもhutも同じに聞えてしまいます。どれもが日本語の母音の「あ」に近い
音に聞こえてしまいます。因みにhotも日本人はホットといいますがアメリカ英語ではむしろハット
に近い発音です。補足しますと子音は英語でconsonantですが、conは強くという意味だそうで子音は強く発音せよということです。英語では母音と子音の主従関係はなく、まったく対等です。

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