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2013年2月25日 (月)

外来語は物事を単純化してしまうという指摘

 昨日取り上げた井上やすしさんの「日本語教室」(新潮新書)の28ページで、「外来語は物事を単純化してしまう」と述べている。

 日本語にはいったいどのくらい外来語があるのか、手元に外来語辞典がないので分からないし、インターネットで調べたが分からなかった。中でも英語由来の外来語は和製英語も含めて一番多いだろうと想像される。多分20000以上あるのではないだろうか?

 新聞を見ると、やたら英語由来の外来語が目につく。2月24日の朝日新聞朝刊一面だけで、以下のようである。

 TPP,センシティビティ、ミサイル、フォーラム、USTR,トラック、サッカー、シェールガス、コラム、メヂア、vote×board、テーマ、プラス・シー、コンテナ、リサイクル、ジャージー、プリペイド、マネー、スポーツ、TV,ラジオ、チョコレート、アンケート、シャワー、ゴルフ、ジャパン・イズ・バック、アジア、アベノミクス、モダン、ライフ、マスター、ベストセラー、ノミネート、プレッテル、フィールドワーク、ベース、ペーパークラフト、

 中でも一番難解なのが「センシティビティ」である。かっこして、1回目には(重要項目)としてあり、2回目には(すぐには関税を撤廃しにくい品目)と注が付いている。

 つまりこの単語は二つの意味に使われているということだが、それを一語のセンシティビティで表しているのだ。

 井上さんはP.29で、次のような例を挙げている。

 「このたんすにをリフォームした大津市の骨とう店」という新聞記事の見出しを、骨とう店でリフォームということはないでしょうに(笑)と書いている。文章を書く専門の新聞記者でさえ、このありさまだと嘆く。

 それに続く説明が大事で、「リフォームはたくさんの意味があります。再生とか、改良とか、仕立て直しとか、改築、増築、改装。僕は英語はよく知りませんけど、外国の、たとえば英語を使う人たちにリフォームと言っても分からないでしょう。

 これは日本独特の使い方ですから。つまり、日本語では、再生とか、改良とか、仕立て直し、改築、増築、改装と、たくさん言葉があって、それぞれに微妙に違います。その違いを全部無視してリフォームにしてしまう。

 一見便利なようですが、今まで言い分けてきた日本人の脳の働き、正確さをいうのを、リフォームの一言で、非常に単純にしてしまうのです。こういうことが積み重なっていくと、悲劇的なことが起こるのではないでしょうか。」

 私はこれを読んだとき、衝撃を受けた。私自身何の気もなくリフォームという言葉を使ってきたからだ。

 家の改造をしたとき、服の仕立て直しをしたとき、店やが改装したとき・・・・全部リフォームですましてきた。昔からある日本の言葉をなぜ使わなくなったのだろう。この文章を読んで初めて反省をした。

 日本語には、英語では表せない、日本の文化にもとづく言葉があるのだ。それを英語に単純化してしまうことの恐さを再認識すべきである。

 私が、就職したての頃、レポートに英語由来の外来語をたくさん使ったことがある。そのとき上司にたしなめられたことを思い出す。大学を出たばかりで、外来語を使うと教養があるという錯覚に陥っていたのだ。

 しかし、時がたつにつれてマスコミには外来語(特に英語)が溢れて行った。

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コメント

 おっしゃる通りです。日本語の中に安易に外国語をもってくるのでとんでもないことになってしまうのだと思います。和製英語を英語として使ってしまうことがありますが、気を付けたいものです。

クアラルンプールの市街地では現在、建物の増改築工事ががいたるところで行われています。そのことを英語でリフォーム(reform)という単語を使ったら、リフォームとは言わない。リビルド(rebuild)かリモデル(remodel)が正しいと言われました。日本で現在使われている外来語(カタカナ英語)をそのまま外国で使ったら意味が正しく伝わらない言葉がたくさんあるので注意が必要です。マンション、コンセント、クレーム、バイキング、フリーダイヤル等々。そもそも英語と日本語がぴったり重なる単語は果物や動物の名は別として殆どないと思ったほうがいいようです。
このことが英語を学ぶ難しさの大きな原因にもなっているのです。


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