「中国語はじめの一歩」から―中国語は積み木(ブロック)?
「中国語はじめの一歩」(木村英樹著、ちくま新書)という本をBOOK OFFで見つけて面白そうなので買ってきた。読んでみたら予想にたがわずいい本であった。
「はじめの一歩」という題名だが、内容は全くの初心者から、ある程度勉強した者まで参考になる。説明が大学の授業形式で、その上分かりやすいのがいい。
その中から、興味深かったのを取り上げた。第1章の17ページ前後に、中国語は積み木(ブロック)と考えると分かりやすいと書いてある。
「中国語は、一言で言えば、さまざまな色や形をした無数の硬い積み木(ブロック)の集合です。そこでは、意味を持つひとつひとつのことばが、あたかも硬質のブロックのように、どれも硬くて形の変わらない固形体をなしています。
ブロックには、ひとつひとつに意味のラベルが貼り付けてあります。そのたくさんのブロックの中から例えば《ワタシ》、《アナタ》、《愛スル》と記されているブロックを選び出し、《ワタシ》《愛する》《アナタ》の順に並べ替えればそれだけで「私があなたを愛している」という意味になり、《アナタ》《愛する》《ワタシ》と並べ替えれば、それだけで「あなたが私を愛している」という意味になる;中国語とはおおまかに言えば、そんなイメージで捉えることができる言語なのです。」
中国語は、格変化という形態の変化が起こらない言語なのだ。これが英語だとそうはいかない。
I love you. You love me.のように、主格なら「I」、目的格なら「me」というように格の変化が起きる。
日本語も格変化は持たない言語だが、その代わり、「が」や「を」などの助詞によって主格や目的格を示すようになっている。
私(は)あなた(を)愛する。 あなた(は)私(を)愛する。
ただ、日本語は助詞で格を示すので、「愛する、私は、あなたを」のように語順が入れ替わっても意味は通じるという利点がある。
中国語では、「我愛你」、「你愛我」 (你niは”あなた”だが2人称はこれと您ningしかない)
他(彼)を使うと、我愛他、他愛我、你愛他、他愛你、となる。著者がいう積み木たる由縁である。気を付けるのは、SVO(主語、述語、目的語)という語順が英語と同じだということである。
私が子どもの頃、中国人を「チャンコロ」と呼んでバカにしたことがあった。その時中国人を真似るのに「ワタシ、ニホン、クル」、「アナタ、ホン、ヨム」のような助詞抜きの言い方をしたものだった。今思うとこの言い方は、中国語なら少しも不思議なことではないのだ。
※この本は1996年初版。AMAZONなどで85円からある。BOOK OFFで350円。
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コメント
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以前タイに行ったとき、タイ語の挨拶を習いましたが、発音が大変難しいです。日本語の発音はたった120音で、しかも、母音が入っていますから発音は大変優しい言語なのです。タイ人を教えたことがありますが問題ありませんでした。
投稿: らら | 2013年2月13日 (水) 17時18分
興味のある問題です。
タイ語も同じです。
SVOのような単純な文はわかりますが、関係代名詞が入ったり、重文、複文になるとそう簡単にはわかりません。
以前の小学校の教科書は順を追って学ぶようになっているので、教科書をきちんと勉強していくとかなりできるようになります。
中国語も発音は大変でしょう。タイ人に日本語の発音ができないように、われわれにはタイ語の発音ができません。
でも、言葉の勉強は面白いですね。
投稿: Ninja | 2013年2月13日 (水) 12時32分