不気味な市長独断の教育行政
橋下大阪市長は、かねてから教育行政を地方自治体首長の思い通りに動くようにすべきだとして、教育条例を作るなどしてきた。
今回大阪市立桜宮高校のバスケット部顧問の体罰問題を受けて、同校での体育科への入試の廃止と定員120名の普通科への振り分けをすると言明した。体罰体質が解決していないからだというのが理由だ。
さらにエスカレートして、桜宮高校の教員の総入れ替えと全市立高校の府への移管をすると言い出した。
高校の入試は、目の前まで迫っている。これまで桜宮高校の体育関係の科への入試のために準備を続けてきた中学生は定員120名の何倍もいるはずだ。市長の方針で彼らの努力が水泡に帰すのだ。
「涙が出ました。体育科に行きたいから勉強めちゃくちゃ頑張ったのに」とか「桜宮でスポーツ科学を学びたい人がいる。なんで子どもたちが我慢をしなきゃならないのか」など、苦情や反発が巻き起こっているという。それは当然すぎることである。
大阪市立中学の校長会は、「生徒、保護者に不安と動揺を与える」として、入試を求める緊急要望書を市教委に提出したら、橋下市長は「そんな校長は要らない」と一蹴したという。
大阪市では市長はそんなに強権を持っているのであろうか。教育条例によって市長思い通りの行政ができるようになったのか。そうだとすれば恐ろしいことである。
体罰をした教師はもちろんいけないが、市長が一存で入試を取りやめるというのはそれ以上にひどい仕打ちではないか。入試を目指して頑張ってきた何の罪もない生徒の進路を市長の一存で変えさせてしまうのだ。生徒の人生に大きな変更を与えるものになるかもしれないのだ。
体罰の原因を早急に徹底的に追及しながら、再発防止策を講じて、よりよい教育へと向かわせることを進めることが今求められるのだ。
入試の廃止や教員の総入れ替えや市立高校の府立への移管で終わる問題ではない。それこそが責任をうやむやにするものであると知るべきである。大阪市民も教員も立ち上がってほしい。
« 小出助教の原発についての話から | トップページ | 指揮者イタイ・タルガムのリーダー論 »
「教育・生涯学習」カテゴリの記事
- 教員になり手がなくなっているという(2023.01.22)
- 教員の多忙さの生々しい現状(2022.05.08)
- 朝日新聞連載「いま先生は」に期待すること(2021.12.03)
- IT時代で手狭になった教室(2021.07.19)
- 教員免許更新は即刻廃止ずべし(2021.06.01)
おっしゃる通り自分が言ったことを平気でコロコロ変えますね。そんな人間をなぜ市長に選んだのでしょうか。
投稿: らら | 2013年1月20日 (日) 09時29分
何か問題が起こると、それを口実に介入し、権力者の支配下に置こうとする。橋下市長の常套手段である。
体罰肯定論者だった彼が一転してこのような態度に出る。自分の手法に反対だったら、市長選で落とせばいいと強弁する。受験生は次の市長選まで待つことができないのである。橋下市長の思考の浅薄さを改めて感じる。
多くの大阪市民や受験生が立ち上がり、このような強権的なやり方をストップしてほしいと願う。
投稿: takao | 2013年1月19日 (土) 12時59分