河野洋平元衆議院議長の見識
12月24日の毎日新聞に、河野洋平氏が寄稿して、「憲法9条と核兵器廃絶の初志を忘れずに」と述べている。
先の衆議院選挙で自民党が圧勝したが、その選挙を通じて安倍自民党総裁が憲法改悪と国防軍の設置旗印に掲げて戦ったことや石原氏が核武装を唱えたことへの警鐘をならしたのである。自民党や維新の会など右翼勢力が大きく進出したのに対し、自民党リベラルは相対的に小さくなってしまった。そんな中で河野洋平元衆議院議長の発言は重要である。
氏は次のように言う。「・・・日本の核武装を考えるべきだ、集団的自衛権行使の憲法解釈を変えるべきだ、憲法を改正して自衛隊を国防軍とすべきだという主張もある。しかし、我が国には核攻撃の惨禍に見舞われた経験を世界の人々に知らせる使命があり、核兵器廃絶を先頭に立って訴えるという初志を忘れるべきでないと考える。」
核軍縮は世界の主流であり、第一核兵器は使いようがないと述べ、「国際社会における発言力は核兵器の保有によってのみ生まれてくるものではない。歴史に対する洞察をもち、弱い立場の国々の側に立ち、ビジョンを示すソフトパワーを軽視してはならない。憲法で『戦争放棄』を明確にしていることは、我が国のソフトパワーの重要な源の一つだ。」
憲法で集団的自衛権を行使を認めていないと表明することは各国に認められてきたことである。それがPKOで外国に出かけた自衛隊が信用される源泉にもなっている。
「広島・長崎を経験した我が国は、核兵器の使用が市民にとって非人道的な行為だと知っている。昨年の福島第一原発の事故では、放射性物質の拡散が環境問題として如何に深刻か身に染みて分かった。」だからスイスやノルウェーが進めている核兵器の非合法化に我が国も積極的に参加すべきだと言っている。
本当に河野洋平氏が指摘する通りである。安倍首相が進めようとしている方向は日本が世界の目指す方向と逆行している危険なものである。自民党の中に河野氏のようなリベラルのブレーキが働くことを切に望むものである。
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