取り戻すのは古い自民党政治だ!
安倍政権は、3本の矢に例えたアベノミクスで矢継ぎ早に政策を打ち出している。大変スピード感があり「なかなかやるな」という印象を与えるが、中身はというと、一言で言えば「古い自民党政治を取り戻す」ことだ。
選挙中のスローガンとして、自民党は「取り戻そう、日本」を掲げたが、取り戻す日本の内容がここに来てはっきりとしてきた。
NHKは自民・公明が決定した2013年度税制改正大綱について、ニュースとして淡々と伝えた。我が家は朝日新聞しか取っていないので他のマスコミがどう伝えたかは知らない。
25日の「天声人語」は、朝日なりに皮肉が利いていた。まず、「自民党の電光石火の『先祖がえり』を目の当たりにしたと書いた。私が感じた通り古い自民党政治に戻ったというのだ。
続いて「早手回しの復古は、経済再生の手順に鮮明だ」と念を押している。「厳しい財政下で脱デフレをいそぐにあたり、産業界と公共事業への深い『理解』がのぞく」と書いている。
深い理解とはちょっと皮肉ったのだろうが、もっとはっきりと大企業と公共事業の名目で絵の大盤振る舞いのばら撒きと書いて欲しかった。企業にはいろいろな形での減税を用意した。
また、自動車産業界の意向を汲んで自動車取得税が廃止される。その一方で自動車重量税は「特定財源」として道路をどんどん造ることにするようだ。「受益者負担の性格を明確化するため、税収について道路の維持管理・更新の財源として位置付ける」と明記した。自民党の議員は「読めば道路特定財源だよな」と言ったそうだ。
巧みに抜け道を潜り込ませるのは他にもある。富裕層への増税を打ち出しながら他方で「孫への教育資金としてひとり1500万円まで贈与できる」とした。1500万円を贈与できるのはかなりの大金持ちである。
一方私のような年金生活者や低所得層は踏んだり蹴ったりである。消費税の増税でまともに影響を受ける。公明党が主張した軽減税率は捨て置かれた。非正規社員が35%にもなり、収入の不安定な人が増えているし、年金にしても減額されたり、介護保険料や国民健康保険料が増額するなどで苦しい状態だ。
さらに生活保護費の支給額が削減される。増え続ける生活保護受給者に困ってのことだ。これをみても安倍政権が弱者には目もくれない冷血政権(今年は蛇年だった・・・)だということが分かる。減らすべきは「政党交付金」や議員定数であろう。
週刊誌に小泉政権で格差を作ったあの竹中平蔵氏がまた復活したと批判している人がいた。正社員が減りフリーターや派遣社員やアルバイターが増加した原因を作ったのを忘れてはいけない。
アベノミクス以外にも安倍政権が古い日本を取り戻そうとしているのは教育改革である。「教育再生実行会議」というのが始動した。安倍首相が「経済再生に並ぶ最重要課題」と位置付けているのだ。委員には安倍首相の考えを推進する右寄り保守の人を揃えている。
参議院選挙が終わると一気に動き出せるよう今は静かに準備をする段階である。
道路族、建設族、教育族など族議員が続々と大手を振って予算という金に群がる構図が見えて来る。それが安倍政権の「取り戻す日本」の姿である。
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おっしゃる通りだと思います。残念なのは低所得層や貧困層は投票に行かない人が多いと思われることです。自民党に投票する層は金に困らない人たちや大企業関係など潤う人たちです。貧しいものを痛めつけて平気な人たちが小選挙区マジックで勝ったのです。それでやりたい放題なのです。
投稿: らら | 2013年1月27日 (日) 09時03分
政治とはある面、利害の調整、いささか品のないいい方をすれば、限られた予算のぶんどり合戦ともいえる。そのまま放置すれば、力の強いもの(大企業、金持ち)が有利な様に決められていくものである。以前は大企業が太れば、全体もそのおこぼれに預かるというのもそれなりの説得力はあったが、そうはならないことは、具体的にも証明されている。(小泉政権以降、労働者の平均賃金は下がり続けているが、経営側の所謂、役員報酬はうなぎ登りである。) 日本も格差社会になったといわれる所以である。従って、政治は本来、弱者に配慮した所得再配分を目指すべきなのである。その反省に立って、民主党が誕生し、国民が期待したのであるが、まさに先祖返りをしてしまったというのは正鵠をえた指摘であると思う。
投稿: Toshi | 2013年1月27日 (日) 07時16分