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2012年11月 9日 (金)

傑作マジック、サムタイの話

 先日私が所属する名古屋華マジカルグループで講師を呼んで、サムタイのレクチャーをしてもらった。サムタイは、紙の太いコヨリで両手の親指をきつく縛り、その状態で棒などを通過させるのだ。サムタイは舞台奇術として演じられ、とりわけ日本刀を使ってやるのがよく知られている。だから、私も日本の伝統の奇術、和妻だと思っていたが、実はそうではないのだ。

 サムタイというのは、Thumb tieと英語で綴り、れっきとした英語なのだ。親指(Thumb)を縛る(tie)からThumb tieなのだ。

 サムタイは明治時代に文明開化と共に日本に伝えられたといわれ、もともとはイタリア人奇術師ピネッティが18世紀に考案したものである。(天一・一代明治のスーパーマジシャンより)が考えたもののようである。

 最初に文献として出てくるのが、明治10年以前に発刊された「大日本渡海長崎シイボルト先生直伝・座敷諸伝授」(福井歌呂久発行)といわれる。そこには「柱抜き」と記されている。

 日本で演じられた記録としては、帰天斎正一が明治13年に東京の中座で演じたものがある。

 サムタイは伝わった頃は、柱抜きと言って、太い柱をくぐらせるものであった。それが日本の奇術のように思われるようになったのは松旭斎天一の功績による。

 天一は福井県出身の奇術師であるが、欧米で公演をした際、親指を縛った両手が棒を通過させるようにして舞台で演じたが、両手が通過するとき手が微動もしないので観客を魅了し、サムタイといえば天一のサムタイと言われるほどになった。

 サムタイは欧米に置いても多くのマジシャンにより研究された。ポール・ロッシーニ、ダイ・バーノン、ジェイ・マーシャルなどが独自の方法を発表している。

 日本刀を使うやり方を誰が始めたかは定かではない。今では天一のサムタイの他に針金やビニールテープを使うなどさまざまなやり方が工夫されている。また、日本刀や棒ではなく、ハンカチに隠すとか輪を投げて受けるやり方もある。

 私たちが教えてもらったのは、天一のやり方ではなく、もっと簡単化したものであった。講師は巧みに演じたのでとても不思議であった。要は演じ方である。

 サムタイを解説した本はほとんどない。ターベル・コース第4巻にあるのも縛らせ方を簡単に述べているに過ぎない。季刊不思議第14号の高木重郎氏の解説が一番親切で丁寧である。

 参考文献:季刊不思議14号 (マジック・マガジン社 1985年)

        「図説・日本の手品」(平岩白鳳著、青蛙房1970年刊)

 ◎天一のサムタイの実演動画サイト

http://www.youtube.com/watch?v=molFMKv7BsQ

           ―H.S―

  はしらぬきの傳 

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マジック」カテゴリの記事

コメント

 天一の功績は大きいです。そのサムタイを覚えようとしているのですが難しいです。

先日の名古屋華マジカルでのサムタイの講習会は大変面白かったです。明治時代からの柱抜きというマジックを日本の奇術と思われるように松旭斎天一という人の功績によることは知りませんでした。

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