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2012年10月24日 (水)

レクチャー「日本酒とワインの比較」を聞く―③―

 これから書くことは、レクチャーで話されたことではなく、参考資料として配られた資料に基づくものである。

 レクチャーの後出された質問、「日本酒が世界に普及しない理由は何か」の答えとして、ニコラス准教授は、「麹」の存在をその一つにあげていたことは先回書いたとおりである。

 ここで「麹」について、資料をもとに紹介したい。

 日本酒もワインも「醸造酒」という枠でくくれば同じ仲間と言える。しかし、製造方法からみると全く違っている。日本酒の原料は米、水、麹、酵母であり、ワインの原料は葡萄、酵母である。

 もう少し詳しくいうと、日本酒は、米(澱粉)を麹(カビ)の力で糖化しブドウ糖の液体にし、それに酒酵母を加えて発酵させてアルコールを造ったものである。(糖化と発酵は並行して行われるという)つまり、「並行発酵」である。

 ワインはブドウ糖に酵母が作用して発酵させアルコールを造ったもので、単発酵(糖化させる過程がない)である。だから西洋人は、麹カビのことを知らないのだ。

 日本酒を造るには、米を麹の力を借りて糖化させるプロセスが必要なのである。これは大変な作業だが、利点としては、米は持ち運びができるのでどこでも酒を造ることができることだ。

 麹とは、麹菌というカビを蒸した米に繁殖させたもので酵素のかたまりである。この酵素の力で澱粉をブドウ糖に変えるのである。日本酒のでき具合は麹の出来具合で決まるのである。

 ワインの場合、葡萄をつぶしてジュースにし、酵母が加われば発酵が始まるのだ。ただ、葡萄がないとワインを造れない。だから葡萄畑の近くで造られるのだ。

 では、麹とは何か?

                        ―つづく―

 

 

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