ボストン美術館・日本美術の至宝を鑑賞
名古屋の金山にあるボストン美術館では、アメリカのボストン美術館から持ってきた日本の絵画美術作品が「日本美術の至宝」という形で特別企画展が開催されている。
前期展が始まったとき、一度行ってみたいと思っていたが、なかなか実現できなかった。ところが先日知人のMさんから招待券をもらったので見に出かけた。
アメリカのBOSTONにあるボストン美術館へは以前に行ったことがあり、海外の有名な作品ばかりでなく、日本の浮世絵などの作品も見ることができた。そのときに美術品の修復のために日本から優秀な技術者が招かれて修復に携わったということも聞いた。
今回展示されている作品の中で、曽我蕭白の「雲龍図」(下の写真)は、そうした修復された作品の一つで、展覧会の最大の目玉となっている。もともとは襖から剥がされた状態で保存されていたのを修復したもので、8面の巨大な絵であり見るものを圧倒する。蕭白34歳(1763年)の作だという。私もこの作品が一番印象に残った。
この作品と並ぶのが、長谷川等伯の「龍虎図」と言われ、こちらも素晴らしい作品である。私は虎の描かれ方が好きである。6曲屏風の左側が虎、同じく6曲屏風の右側に龍が描かれていて龍虎がお互いに見合っている。1606年、等伯68歳の作品というから驚かされる。
その他の目玉は、「吉備大臣入唐絵巻」で、遣唐使の吉備真備が唐に渡った時の故事をユーモラスに描いた絵巻である。
唐に到着するやいなや高い楼閣に幽閉された真備は、そこで唐で客死した阿倍仲麻呂[あべのなかまろ]の霊(幽鬼)に出会う。唐人は真備を試すため、難しい『文選[もんぜん]』の解読や、囲碁の勝負を持ちかけるが、幽鬼の助けによりこれらをことごとく退ける。
もう一つは、「平治物語絵巻・三条殿夜討ちの巻」で、丁度NHKで放送中の「平清盛」で平治の乱を扱ったのでおなじみである。そのいきさつを描いたもので平治の乱の100年後に作られたものという。
三条殿が炎上するのを聞いて公家たちが集まる様子や襲う信頼・義朝軍と逃げ惑う人々の様子が細かく描かれていて合戦絵巻の最高傑作だそうだ。
その他にも奈良時代の「法華堂根本曼荼羅図」など仏画や室町以後の山水画など前部で66点展示されている。
ボストン美術館には、何と10万点もの日本の美術品が収蔵されているという。それらは、明治時代に廃仏毀釈などで二束三文で手放された美術品をアーネスト・フェノロサや岡倉天心によって収集され、さらにウイリアム・スタージス・ビゲローの収集を寄贈されたものだという。それにしても大した数の収集である。
前期展は9月17日まで。後期展は9月29日~12月9日まで。
詳しくは、http://www.boston-nippon.jp/
驚いたのは、混雑を避けるために平日に行ったのだが、見に来る人が引きも切らず、大変な混雑であったことだ。それだけ関心が高いということで、ボストン美術館は客が少ないので一時は閉館も囁かれたが今回は大成功である。
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