生活保護を「生け贄」とする平成25年度予算概算要求基準を撤回せよ!―②―
昨日の続き。
3 財政目的での生活保護の抑制は餓死・孤立死・自死等を必ず招く
1で述べたとおり,本概算要求基準では,社会保障や生活保護を「聖域視しない」という言葉が繰り返されており,自民党政権末期の小泉政権下で掲げられた「聖域なき構造改革」路線が亡霊のごとく復活している。
小泉政権は,「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)」によって,社会保障費の削減策を相次いで打ち出した。その結果,「厚生労働省の直轄地」「生活保護行政の優等生」と言われた北九州市において,2005年から2007年にかけて3年連続で生活保護をめぐる餓死・自死事件が相次いで起こった。
同市では,生活保護予算を年間300億円以下に抑える等の「ヤミの北九州方式」と呼ばれる徹底した歳出抑制策を講じたがため,こうした悲劇が頻発した。
こうした社会保障費の抑制策に対する国民の厳しい批判が沸々と沸き起こって,歴史的な政権交代につながったことは記憶に新しいところである。
そもそも,生活保護制度は,憲法25条が保障する生存権を具体化した「最後のセーフティネット」と言われる制度である。「最後」ということは,そこで受け止められなければ後には何もないということである。まさに,人の命,生き死にに直結する制度である。だからこそ,本来,財政的見地から給付を制限するようなことがあってはならず,健康で文化的な最低限度の生活は,必ず保障しなければならないのである。
にもかかわらず,こうした生活保護制度をターゲットとして,財政的見地から抑制,削減を図ればどうなるか。その結果は自ずと見えている。困窮者は否応なく餓死,孤立死,自死,貧困ゆえの犯罪に追い込まれ,全国各地であまたの悲劇が生まれるであろう。
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コメント
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若者の生活保護受給者が増加している中で不心得者が出ているのは残念なことですが、それは一部であると思いたいです。
投稿: らら | 2012年8月26日 (日) 15時39分
昨今、20~30代の若者の間で生活保護受給者が
増加しているそうである。景気低迷の長期化で非正規雇用の若者の貧困化、所謂ワーキングプアは未だ
解消してない今日的問題なのである。かっては若者の親が当人の生活を支えたりしていたが、親自身の
経済力も疲弊しているので支えきれず、若者の生活保護受給者が増える原因になっているとのこと。一方、若者の間で生活保護は生保(ナマホ)と呼ばれ
ネットでその賢い受給申請の仕方が情報交換されているという。貰えるものは貰っておけでは完全に
モラルハザードである。こうした不心得なものに
よって憲法25条の精神に則った崇高な制度が食い物にされ、本来受給されなければ人達までいっしょくたにされるとすればまことに嘆かわしいことである。
投稿: Toshi | 2012年8月26日 (日) 06時24分