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2012年8月25日 (土)

生活保護を「生け贄」とする平成25年度予算概算要求基準を撤回せよ!―①―

  2012(平成24)年8月22日に、生活保護問題対策全国会議(代表幹事 弁護士 尾藤廣喜)が、「声なき弱者を犠牲とすることを国是にしてよいのか。『生活保護を「生け贄」とする平成25年度予算概算要求基準を撤回せよ!』」という声明文を発表した。その中から要約して採録する。
                     

1 生活保護を予算削減の「生け贄」とする概算要求基準

 政府は,本年8月17日,2013年度予算の概算要求基準(以下「本概算要求基
準」という。)を閣議決定した。

 『歳出の大枠』71兆円を遵守する」ことを目的として謳っている。そのために

◎義務的経費も含めた歳出全般について聖域視しない。

◎徹底した歳出の効率化を図るとし,

 中でも「特に財政に大きな負担となっている社会保障分野についても,これを聖域視することなく,生活保護の見直しをはじめとして,最大限の効率化を図る。」としている。しかし,私たちは,このような政府の方針は到底容認できない。


2 生活保護費が増えるのは当然であり,むしろ深化・拡大する「貧困」に対応できていないことが問題である

 確かに,近年,生活保護利用者数と生活保護費は年々増加している。しかし,それは,不安定・低賃金の非正規労働者が全労働者の3分の1を超え,失業率も高止まりしたままである等雇用が不安定化していること,高齢化が急速に進んでいるのに年金制度が脆弱で生活保障機能が弱いことなどに起因している。

 原因は,生活保護制度にあるのではなく,その手前のセーフティネットが脆弱であることにある。「貧困」の拡大によるすべての負荷が生活保護制度にかかっていることが問題なのである。
 

 しかも,増えたとは言え,わが国の生活保護の利用率(全人口のうち生活保護利用者数が占める割合)は僅か1.6%であって,先進諸国(ドイツ9.7%,イギリス9.3%,フランス5.7%等)の中では異常に低い。

 これは,生活保護の捕捉率(利用資格のある者のうち実際に利用している者が占める割合)が2~3割程度と,これも異常に低いことに起因している。現在の日本では,700万から1000万人もの人々が,本当は生活保護を利用すべきなのに利用できていないのである。
 

 今年に入ってから,札幌市,さいたま市,立川市,南相馬市などで、これまでハイリスクとは捉えられていなかった複数世帯での餓死・孤立死事件が相次ぎ,貧困のさらなる深化・拡大とセーフティネットの破綻がますます明らかとなっている。

 すなわち,今の日本は,生活保護利用者が増えて当然の社会構造にあり,むしろ,貧困の深化・拡大に生活保護利用者の増加が追いついていないことこそが問題なのである。この事実を冷静に直視する必要がある。

※ドイツなどと比べて生活保護の利用率がはるかに低いことは知らなかった。というか知らされていなかった。

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人権問題」カテゴリの記事

コメント

憲法第25条の生存権、文化的で最低限度の生活を文字通りに実現してもらいたいです。

政府の社会保障敵視は国民生活敵視だと思います。国家財政は、大企業のためや、アメリカのためにあるのではありません。国民の福祉のためにあるものだと思っています。
憲法を知らない、憲法を無視する政府は許せません。

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