風の画家 中島潔展を見る
松坂屋美術館で、風の画家中島潔展を見て来た。想像と違い大変規模の大きい展覧会でびっくりした。1960年代の作品から、2010年ごろまでの作品が、いろいろなジャンルにわたって展示してあった。
中島潔の絵は,必ず人物、しかも童女が多く、その童女が赤ん坊を背負っていたり、傍には可愛い犬がいるのが目立った。童謡を描いたのはNKHのみんなの歌で親しまたものであろうか。古い良き時代を思い出させる絵で私のような年代には懐かしい。
この展覧会の目玉は、京都の清水寺の成就院の襖絵である。中島潔は彼の絵画人生の集大成として襖絵を描き奉納したのだという。1200年の伝統を持つ清水寺は当初襖絵にそぐわないと思ったようだが、その絵を見て彼の描く絵は観音様に通じるものがあるとして受け入れた。
46枚の襖絵は四月末に成就院で公開された。それが今回松坂屋美術館に来たのだ。
成就院の襖絵のメインは、金子みすずの代表的な詩の一つである「大漁」をテーマに描かれた。大きな4面の襖にカツオほどもある鰯の群れが描かれていて女性がその中にいる。これは彼の終生のテーマである「命の無常と輝き」を表現したものだ。5年かけて描き続けて来たといわれる。
私は最初魚が鰯とはわからなかった。それは余りにも大きいからだ。鰯は目玉に特徴があるがなぜか白いままで省かれていた。目玉を描くと見る人に煩わしさを与えると思ったのであろうか。それとも鰯の哀しみを表現したのであろうか。
朝焼小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何萬(まん)の
鰮のとむらい
するだろう
襖絵には、源氏物語をテーマにした独特のディフォルメの絵巻がある。これも見事なものである。
私が特に好きなのは、金子みすずの詩につけた絵である。詩の世界をうまく表している。それから「風の女」。なぜかどれも憂愁の眼つきをしているが耽美的な絵である。
この絵画展は、下記で7月22日まで公開中である。
http://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/museum/2012nakashimakiyoshi/
中島潔の絵はgoogleで「中島潔 画像」で検索すると見られる。
https://www.google.co.jp/search?q=中島潔4&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=v2_3T-GOJ4GemQWfuYysBQ&sqi=2&ved=0CFYQsAQ
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