首相の大飯原発再稼働決断は既定のこと
5月31日の朝日新聞朝刊Ⅰ面には、「首相、再稼働決断へ」という大見出しが躍った。私はそれを冷ややかな目で眺めた。おそらく多くの人も同じであっただろうと思う。というのは、大飯原発再稼働は4月の閣僚委員会で安全についての暫定基準を決めたときから既定の方針であったからだ。
その後の細野原発担当大臣の大飯町や福井県などへの訪問と根回しも、言ってみれば体裁を繕うためであった。私の見るところでは、関西広域連合の首長の会合も再稼働お膳立ての一部に過ぎない。
共同声明で、「暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める」としているが、要は、政治的判断で首相が決めればそれに従うということである。
それかあらぬか、藤村官房長官は、記者会見で「理解は得られつつある」と述べた。結局最初の筋書き通りにことは進められているのである。
地元の大飯町の安全よりも目の前の補助金が欲しいという気持ちは分からないでもない。おそらく、福島第一原発のような事故はすぐには起こらないであろうとたかをくくっているのであろう。
事故が起きるか起きないかは分からない。ただ、恐ろしいのは、もし一旦事故が起きてしまうと「想定外」ではすませられないということが福島の事故ではっきりしたことだ。
関西電力管内では、14.9%の電力が不足すると試算されているが、以前にも書いたように電力は不足しないという試算もあるのだ。
福島第一原発事故の徹底的な検証を経ない、いい加減な暫定安全基準で再稼働を急ぐというのはあまりにも危険である。
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電力は足りないことはないと言っていた橋下大阪市長も再稼働容認に回りました。無責任でいい加減なものです。
投稿: らら | 2012年6月 1日 (金) 11時14分
絶対安全とは言えない。ただ福島第一原発のような大事故はめったなことでは起こらない。あるいは起こって欲しくないという切なる願望だけで再稼働が決定されたと言っても過言ではない。この論法でいけば休止中の原発も多少の紆余曲折はあるものの再稼働に向かってまさに一瀉千里の動きとなることが予想される。今なお深刻な事態を脱しきれていない福島の現状を考えると、とても喉元過ぎればとは言えないにもかかわらずである。
今回の経緯をみると電力不足(本当に足りないかどうかは別として)による社会的、経済的な混乱は
何としても避けたいというのが政府の強い意志なのだ。大江健三郎氏のパリ発言のように「経済に大打撃があると言うなら、それを受け止めればいいではないか」脱原発はそこまでの覚悟が一人一人に問われるのかもしれない。
投稿: Toshi | 2012年6月 1日 (金) 09時00分