野田首相は内閣改造をして自民党にすりよるが
野田首相は、問責決議を可決された2人を含めて5人の閣僚を入れ替えて内閣改造をした。田中直紀前防衛相については任命された時から駄目だと思っていたから当然の帰結である。首相の任命責任が問われるべきであった。
内閣を改造した目的は、野田首相がやり遂げると言っている消費税値上げと社会保障の一体改革というのを残された20日間で衆議院採決に持ち込みたいからだ。
民主党内には小沢氏がいて、マニュフェストに書いてない消費税値上げには断固反対だと言い、2度にわたる首相と小沢氏の会談は不調に終わった。
会談はどうみても首相のパフォーマンスとしか映らない。もともと小沢氏とは折り合えないのは分かっていたのだから。そこで、法案を採決に持ち込むために自民党の助けを借りることにしたのだ。
自民党の助けを借りるにしても、自民党はしたたかだから自党の案を飲ませる動きに出るであろう。
野田首相は、消費税の値上げだけを狙うのなら、同じく値上げ路線の自民党の言うとおりにすればよいのだ。おそらくそうするのだと思われる。
6月5日の朝日新聞「耕論」で「政権交代の果てに」という見出しで3人の人が話しているが、私は、田中秀征元経済企画庁長官の意見が的を得ていると思う。
彼は、「野田さんのやり方は自民党は民主党より正しかったと言っているようなものだ。総選挙で民主党に投票した人は、身の置き場がないだろう」と話す。
またこうも述べている。「この分だと、民主党は自民党から次々と条件を付きつけられるに違いない。自民党の社会保障政策まで飲まされたら、マニュフェストの根幹に触れるだけに、政権交代の意義が失われ、世論はいよいいよ失望するだろう」と。
実際自民党は、あの手この手で条件を突きつけてきているし、何とかして話し合い解散に持ち込もうと狙っている。
田中氏は、世論はいよいよ失望するだろうと言っているが、国民の大半はとっくに民主党に愛想をつかしているのだ。
田中氏によると、野田首相は、財務省の増税を悲願とする言いなりになって何が何でも増税をやろうとしていると指摘する。
ここまで書いて面白いことを思い出した。それは藤巻健史氏が「なぜ日本は破たん寸前なのに円高なのか」(幻冬舎新書)で、「日本の歴代の財務(大蔵)大臣は、米国のそれに比べて極めて経済の知識がない。日本の財政政策は、大臣に就任して初めて経済学の本を読みましたとか、日本経済新聞を初めて読みました、という人が担っているのです。彼らは経済学や金融が分かってないだけでなく、英語も(宮沢喜一氏を除いて)話せないのです。」(p.48)と述べていることだ。
そんな状況だから、財務官僚に言いなりになってしまうのだ。小沢氏はそれを政治主導を打破しようとしたが、結局失敗に終わった。
消費税増税については既に60日間も討議をしたといわれるが、我々の目に映っているのは、相もかわらぬ政治抗争と駆け引きだけである。
野田首相がいうように、日本の将来を決める重大な問題であるなら、なおのこと時間をかけて国民がよく分かるように説明をし、その上で菅さんが言っていたように、国民の信を問うべきであろう。
« 生活保護を受けずに頑張っているホームレスの話 | トップページ | 吉田文さんのブランチ コンサート―大聖堂の響き― »
「政治・経済」カテゴリの記事
- 副大臣・政務官人事(2023.09.18)
- 野村農水相の発言(2023.09.02)
- マイナー保険証反対の声をどんどんあげよう!(2023.08.18)
- 特捜部に期待、秋本議員の収賄疑惑徹底解明(2023.08.08)
- 医療DXに騙されないようにしよう(2023.08.02)
コメント
« 生活保護を受けずに頑張っているホームレスの話 | トップページ | 吉田文さんのブランチ コンサート―大聖堂の響き― »
21日の会期切れまで10日余り、どんな駆け引きがあるのでしょうか。いずれにせよ国民不在です。
投稿: らら | 2012年6月 7日 (木) 12時10分
政治評論家の岸井氏がいつも言うように政党、政治家の最大の関心事は選挙に勝つことであると。身も蓋もないが昨今の政治状況をみていると正に正鵠をえている。すなわち消費増税も社会保障の一体改革も彼らにとってはそのための駆け引きの材料に過ぎないように思えてくる。党利党略は今に始まったことではないし、ある程度は止むおえない面もあるが、今は議論そっちのけで意地の張り合いである。自民党は来るべき選挙で前回の落選組を大量に復活させて政権を奪取する。それが大目標なのだ。
小澤氏にダーティーな部分がなければ彼の言説の方がはるかに説得力があるようにも思える。民主党も国民の生活が第一と言うなら、電力料金の決定の仕組みを透明にして、値上げどころか値下げを実現するような政治的パワーを発揮してみろと言いたい。
投稿: Toshi | 2012年6月 7日 (木) 09時34分