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2012年3月29日 (木)

名古屋大学オープンレクチャーに参加して

 3月23日の午後、名古屋大学のオープンレクチャーがあった。今年が第1回ということだ。まず、全体会が野依記念学術交流館カンファレンス・ホールであり、名古屋大学についての説明を受けた。

  それから7つの分科会に分かれてレクチャーを受けるのであった。私は「脳の柔らかさの話」を聞きたかったのだが、申し込んだときすぐに満員になったので、次に聞きたい「廃熱から電気を生み出す材料の話」にした。

  分科会場はそれぞれの教室まで行かなければならないので、学生が2人案内をしてくれた。あいにくの雨の中を歩いた。名古屋大学の東のキャンパスを歩くのは初めてで、とても興味深く、いろいろな形の建物を見ながらまるでキャンパスツアーだと思った。

  東から西まで歩いて会場に着いた。中に入ると講師の竹内恒博先生が準備をして待っていた。14ページの色刷りのレジメが配られたが、見ても何のことかさっぱりわからなかった。

  受講者は、小学校6年生らしい男の子1人、若い女性や中年の女性も数人いた。男性も若い人から高齢者まで幅広くいた。

  竹内先生は、プロジェクターを使って説明を始めた。「熱電材料とは熱電現象を利用して、電力と熱を相互に変換する材料である」と定義を話した。そして、熱電現象について3つあると言った。

①ゼーベック効果  温度差により熱起電力が発生する

②ぺルティエ効果  異なる2種類の金属からなる回路に電流を流すことにより、 

             接合部分に発熱と吸熱が生じる

③トムソン効果    電流により熱エネルギーが運ばれる

 

 ゼーベック効果について、電子には座席の数があって、座席の数と電子数は材料で決定されるということや電子が座席に座る確率の分布が温度に依存していることを詳しく説明した。

 

 私には非常に理解が困難なことであったが、聞いていた。実際に手で触れるだけで電流が流れる様子や熱吸収と発熱が同時に起きるのを体感できる簡単な装置を回してくれたので感じはわかった。

  実用化されている熱電変換システムは稼働部がないので、メンテナンスフリーであることや小型化が容易であるという利点があるが、エネルギー変換効率が低いので熱電発電の利用は限定されているそうだ。

  ◎熱電発電素子利用例

 シチズンの時計(10万円以上)、アメリカの熱電蚊取り器、熱発電鍋

  ◎ペルティエ素子の実用例

  業務用小型冷蔵庫、中国のウオータークーラー、ワインセラーなど

   熱電発電で廃熱を利用できるようにすれば大変大きな効果が期待できる

  発電所の熱、様々な電気機器使用時の熱、工場での熱、自動車の熱などすべて廃棄されているがそれらを使えるようにするのである。

  それには、安価で、環境に優しく、高性能な熱電材料、熱電デバイス、熱電システムを作り出すことが強く求められているという。

  しかし、問題点がいくつかある。

 ①エネルギー変換効率が低い

 ②材料が非常に高価で有害

 それらを克服する研究がされている。その概要を話されたが難しかった。

  新しい熱電発電素子には、直線型素子、フレキシブル素子、パイプ型素子、ヒートパイプ装着型素子、薄膜状素子などがあり、それぞれに適した使用方法が考えられている。

  日本にいくらでもある温泉の利用の温泉発電システム、アメリカやドイツで進む自動車排熱利用、廃棄物焼却炉の廃熱利用の熱電発電、ZTに頼らない熱電発電システム

  2040年までに廃熱で利用できるものは利用できるようにしたいというロードマップが作られている。しかしながら、この分野への研究費が非常に少なくて困っているそうだ。

 私は、原子力発電に膨大な金が独占的に使われてきたが、いったいどのくらいあればよいのかと質問したら、ほんのわずかを回してもらえたらよいと言った。

  今、再生可能エネルギーの開発と利用が急がれているが、この分野への研究開発費が非常に少ないのは、原子力ムラが独占しているからである。一刻も早くその状態を改めて再生可能エネルギー方面へ金を出すことが大事だ。

  この講義を聞いて、もし、私たちの生活のあらゆるところに存在する廃熱を利用できればクリーンなエネルギーが得られ、地球環境を守ることができることを知った。

 先日取り上げた池上彰さんの番組では、この分野については一言も触れなかった。彼が話したのは、バイオエタノール、メタンハイドレード、海藻からの油、ミドリムシからのジェット油だけであった。

  繰り返すが、廃熱利用のシステム開発は原子力発電に代わる電気を得る可能性があるのだ。

  竹内先生は、大変誠実に次々と出る質問にすべて答えられ、さらにemailアドレスを教えて下さり、いつでも質問して下さいと言われた。素晴らしい研究者である。政府や電力会社はこういう研究者にこそ研究費を出すべきである。そして1日も早い実用化を目指してほしい。

 

 

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原子力発電・再生可能エネルギー」カテゴリの記事

コメント

全くその通りです。講師が「ほんの少しでいい」と言っていたのが印象的でした。原子力ムラで金をほぼ独占していたのですから。

私も原子力村に回す金をこういう研究費に振り替えることは大賛成で、政府がぜひやるべきことと思います。基礎研究こそ、未来を創るものです。

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