人類はどこまで愚かなのか、国防費の増加競争
3月5日の朝日新聞朝刊のトップ記事は、「中国国防費『公表の1.7倍』」であった。昨年度分について、中国軍シンクタンク(中国国際戦略学会)の現役少将が2月に北京を訪れた外国の防衛当局者との非公開の会合で明らかにしたという。それによると、軍事関連経費などを加えると、昨年の実際の国防予算は、公表額の1.7倍に相当するということである。
同志社大学の浅野亮教授の昨年の試算では、実際の国防費は公表額の1.5倍~2倍だという。英国の国際戦略研究所の試算では公表額の3倍になるという。
公表額だけみれば、アメリカはダントツで、6983億$、第2位が中国の1194億$(推計)イギリスが596億$、フランスが593億$、ロシアが意外に低く第5位の587億$、日本は第6位の545億$である。
アメリカでも核兵器開発費は軍事費に含まれていないと中国は指摘している。それにしてもロシアがあれだけ広い国土を有しながら中国の半額とは驚いた。
この記事を読んで、ぱっと頭に浮かんだのは、何と愚かな競争かということであった。世界の警察を勝手に自任しているアメリカは、イラクやアフガンに軍を送って膨大な国防費を使っているがそれは自ら招いたことである。
しかし、中国はというといくら経済成長がはなばなしいとはいえ、13億の人口を抱え、沿岸部の発展地域と内陸の農村地域とでは格差が甚だしく、1割程度の富裕層以外はまだ貧しくて不満を抱えている。
それなのに空母を1.6兆円で建造したり、新しい戦闘機を製造したり、国防費は毎年増えているのだ。
日本でも、アメリカへの思いやり予算や自衛隊の装備費などで莫大な金を支出している。
もし、そういう部分につぎ込む金が不要なら、アメリカの99%の人や4300万人といわれる貧困層はどれほど助かるか知れない。
中国は社会主義を標ぼうしていて、本来なら人民の生活が優先して保障されるはずなのに、実態は逆である。
日本も同じである。軍事費に金を使わなければ消費税を上げる必要は全くないはずだし、ワーキング・プアが出るわけがないだろう。
国防費に金を使うことで関連産業に金が回るとかGDPを押し上げるということができるという考えがあると思うが、その金で他の産業を育成したり、雇用を増やしたり、消費を刺激すればよいのだ。
人類は、原始共産制を抜けてから、富の偏在と権力者の出現により、戦争に明け暮れてきた。そのために計り知れない命と金が無駄に使われた。
人類以外の動物でそういう馬鹿げたことをしている動物はいない。異種間の弱肉強食はあるにせよ、それは自然の摂理の範囲内である。
人間だけが、武器を発達させ、同じ人間同士で殺戮を繰り返し、せっかく築いた文化や生活を破壊しあってきたのだ。そして今なお軍事拡大競争から抜けられないでいる。何とも愚かなことかと思う。
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