冷温停止”状態”というコトバの魔術
野田首相が福島第一原発事故の収束宣言をした。この収束宣言だが、アメリカやヨーロッパのメディアからすぐに批判された。英語の新聞を読んでないので分からないが、収束宣言の第一条件に挙げられた「冷温停止状態」という用語は英語ではどう表現するのだろうと思った。
日曜日に、サンデーモーニングを見て分かったのだが、「冷温停止」と「冷温停止状態」とは、似て非なる用語法なのだという。
「冷温停止」とは、原子力発電の装置が正常に稼働していて、冷却するための本来の装置によって冷却して100度以下になることだという。
それに対して「冷温停止状態」とは、新しい造語で、原発を冷却するのに本来の装置が使えないので、補完として新しくつけた装置で冷却しているので、”状態”と表現したのだ。
これは大変重要なことで、真の意味の冷温停止なら、収束したと安全宣言ができるが、”状態”では、あくまでも推測にしか過ぎないのだ。第一確かめようにも、メルトダウンもしくはメルトスルーをしているところへ人間が近づけないからどうしようもないのだ。
同じ日東京電力が記者会見で答えたところによると、第3号機では370度ほどを示している部分があるという。野田首相は、全てが38度~68度になったと言ったが、そうではないのだ。
冷温停止”状態”では、これから何が起きるか分からない危険な”状態”なのだ。それを誤魔化すために造語をして世界を安心させようとしたのは恥ずべきことである。だから、外国のメディアから厳しく批判されたのも当然である。
サンデーモーニングは、冷温停止状態について正しく指摘したが、朝日新聞ではどこにもそのことを書いていない。こういう大事なことはきちんと解説をすべきである。
戦前に朝日新聞は、軍への追従の先頭を切って戦争への世論形成をしたと言われるが、その反省はどこへ行ったのか。新聞などマスコミはコトバの魔術をきちんと指摘すべきである。
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