« 金儲けなら何でもありの中国に今更ながら驚く | トップページ | ちょっといい感じの洋食店Sucre »

2011年12月15日 (木)

「除染」というコトバの魔術

 福島第一原発の大事故が起きてから、9か月余り過ぎた。その間、放射能がほぼ日本全域に拡散した。また、気流や海流に乗って全世界を経巡った。

 放射能のレベルの高いところでは、「除染」と称して、ビルを水で洗浄したり、運動場などの土の表土を削り取って入れ替えたり、さまざまな試みがなされてきた。

 放射能濃度の高い地域のゴミを他県に運んで焼却したり、保管したりすることも行われたが、一部では元のところに返却されたものもある。

 NHKクローズアップ現代では、東京近辺の市の焼却場で焼却したときに出た灰の保管場所が満杯となり、そのため市民のゴミ処理ができなくなると報じていた。

 放射能の厄介なところは、燃やしても放射能が凝縮されるのでかえって濃度が高くなることである。水で流してもその水が集まったところの放射能濃度が高くなる。土を入れ替えても放射能の土がなくなるわけではない。

 ウイルスならまだワクチンを作ったり、消毒したりして除去が可能であるが、放射能は絶対に除去が不可能である。ただ、気が遠くなるような時間のみが解決してくれる。

 しかし、放射能によっては半減期が長いものもあり、いったいどのくらいの時間が必要なのかは専門家でも分からないのだ。サンデー毎日によると、157万年もかかる放射能も含まれているという。

 外に出た放射能の除染だけでも大変なのだが、どうしたらよいのかその対策はまだ見つかってないのだ。一旦今回のような事故が起きたらどうしようもないのに、原子力は安全だという神話でごまかしてきたのだ。

 「除染」という言葉も、何か除染をすれば安心のようなイメージだが、実際は他の場所や物に移ってその場所や物の放射能が高くなり手に負えなくなるのだ。

 新聞には、海洋に投棄するという案もあると書いてあったが、いくらコンクリートで固めても海洋汚染の危険性はなくならない。

 世界のどこの国も、どんな原子力専門家もお手上げ、本当の除染などできないというのが真実である。

 それなのにまだ原子力発電に拘る人たちが多くいるし、ベトナム、ロシア、ヨルダン、インドなどに原子力発電施設を売り込もうとしている。「死の商人」という言葉があるが、まさにそれに匹敵するビジネス行為であると思う。自国の事故の処理すらできないのによくもやれたものだと思う。

 私の属する国語研究会(児童言語研究会)の指導者であった国語学者大久保忠利氏は「コトバの魔術」という本を著されて、言葉に騙されないようにと警告された。「原子力の安全神話」もそうだし、「除染」もコトバの魔術だと思うのだ。

 情報リテラシーということが言われて20年近くなると思うのだが、コトバの魔術を見破る言語能力を持つことがそれに当たると思う。

 原子力の安全神話は今や誰でも嘘であったと気づいた。「放射能の除染」も現在の科学技術ではできないのだと知るべきである。

※追加

 新城市農民連の米を食べているという友人から先ほど届いた手紙から。

 「・・・では、私たち新城農民連の取り組みをお知らせします。私たちは、新城の土壌で作られたお米の放射能を測定しました。

 まず土壌ですが、私の参加する市民団体『子供たちの未来と食を守る新城ネットワーク』で、新城市各地8か所の土壌を名古屋にある市民放射能測定センターに依頼しました。

 その結果、残念ですが、全測定のサンプルから放射能が検出されてしまいました。測定結果は、10~76bq/kgで、実際に数値が出たことで、やはりkmも離れているここにも放射能が降り注いだことが確かめられました。

 また、堆肥も1か所測定しましたが、検出されずでした。

 では、そのお米ですが、農民連の分析センターに依頼した結果「検出されず」でした。以前お知らせしたように、土壌から稲に役1割、また、その3割が玄米に溜まる(土壌の数%が玄米に移行)」

ということが書いてあったそうです。

|

« 金儲けなら何でもありの中国に今更ながら驚く | トップページ | ちょっといい感じの洋食店Sucre »

原子力発電・再生可能エネルギー」カテゴリの記事

コメント

その記事は私も読みました。国家の意思が誰によって決められるのか、マスコミもそれに追従するから怖いです。だからしっかりしたリテラシイの力をつけることが大事だと思います。

投稿: らら | 2011年12月15日 (木) 12時58分

喉元過ぎれば熱さ忘れる。人の噂も75日とか言われるように、時間の経過とともに人間はどんな過酷な経験であれ、記憶が薄れていくものである。ましてや直接の当事者でなければなおさらである。最近はメディアが原発トラブルについて一時期ほど頻繁にとりあげなくなった。また政府は年内に原子炉内の冷温停止が
ロードマップ通りに実現し、順調にトラブル処理が進んでいることを近日中に発表する予定である。
こうなると多くの国民は一件落着とはいかないまでも
これで深刻な事態は回避できたと思いそうである。
しかしながら、今日のブログを読めばそれが錯覚であることが十分すぎるほど分かる。
先日、中日新聞に興味深い記事が書かれてあった。
曰く、国家の意志というものがあって、時の政権より遥かに強い影響力があるとのこと、国家の意思を左右するのはアメリカなのか経団連なのか、はたまた強固な官僚組織なのか。結局のところ日本の原子力政策はこの得体のしれない国家の意志で決められていくと。野田政権も国家の意思には逆らえない?

投稿: Toshi | 2011年12月15日 (木) 12時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「除染」というコトバの魔術:

« 金儲けなら何でもありの中国に今更ながら驚く | トップページ | ちょっといい感じの洋食店Sucre »