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2011年12月10日 (土)

21世紀は人権の世紀になるか―ピーター・フランクル氏の講演

 知人のIさんの「おばさんの落書き帳」から、ピーター・フランクルさんの講演要旨を転載させていただきました。

 12/4~10の「人権週間」を記念して名古屋市・名古屋市教育委員会主催「講演と映画の会」が
中区役所ホールで開催され450席がほぼいっぱいになるほどの入場者だった。
  演題「21世紀は人権の世紀になるか」
  講師:数学者 ピーター・フランクルさん

〈要旨〉
  ピーターさんは1953年、ハンガリー生まれ。
最初に、棍棒を使った得意のジャグリングを披露。
  日本のすべての都道府県、世界110ケ国を訪れたと言いながら、ユーモアと出会った人達とのエピソードを交え、自分の名前にまつわる話から始まった。

父母の両親が強制収容所で殺害され、ユダヤ人という差別で悲しい体験を語った。
両親は大学の准教授の職を追われたが、ドクターであった為、どうにか生き残る事ができた。

  6歳の時に一緒に遊んでいた女の子に「臭いユダヤ人野郎」と言われ泣いて帰宅し、初めて自分がユダヤ人であるという事を知った。それを聞いた母親も泣いたそうだ。

  どんな人種でもいい人、悪い人はいる。「・・人はこう」「・・人はこう」と決めつけない。
人間を整理整頓することが差別を生むことになる。  日本の「部落差別」はひどいと思うが、こうした差別はヨーロッパにもあった。

  ハンガリーでユダヤ人が市民権を得たのは明治の始めであった。

  マスコミには直接的な表現は出ない。差別は親から子へ、子から孫へとつながる。経済状況は人に影響を強く与える。

  宇和島で、若い女性と部落のことについて話した時、「昔から続いているのだからそれなりの理由があるのではないでしょうか。」と言われ驚いた。因循姑息」という言葉があり、これは何も改めようといないことを意味し、この考え方がある限り、差別の連鎖は断てない。

  イギリスでは異人種を動物扱いし、全世界に植民地があったのでこの国が一番ひどかった。

  オバマ大統領を黒人と言うが、彼は黒人ではなく「ハーフ」である。
黒人の血が1%でも入っていればアメリカでは黒人と言う。これはアメリカの人種差別の強さを物語っている。

  日本では朝鮮人、中国人への差別があり、フランス、イギリスも排他主義。

  さまざまな社会の整備は進んでいるが、もっと大事なのは心の整備。
バブルの頃の日本人は前向きであったし、好奇心を持って関わりを持って来た。だが、今は顔から笑いが消えており、自分の事だけを考え携帯電話ばかりやっている。体はそこにあっても心はそこにない。

  国際化には英語以上に大切なものがある。それは「寛容」。大切なのは心の状況。
どんな心持で相手に臨むのか。異人種に会ったときに心を閉ざさない。

  豊な国の一部を物質消費ではなく、知的消費に注げば知的財産は世の中に広がる。
子どもたちはいろいろな人種、宗教の人とふれあって欲しいと述べられた。

 

  講演終了後、人権啓発アニメ映画「ボクとガク あの夏のものがたり」(40分)上映

  人権課題として「女性」「子ども」「高齢者」「障がいのある人」「同和問題」「アイヌの人々」「外国人」「犯罪被害者等」「HIV感染者・ハンセン病患者等」「刑を終えて出所した人」「インターネットによる人権侵害」「ホームレスの人々」などさまざまな問題があると言う。

  一人ひとりの人権が尊重され、差別・偏見のない社会になるにはこのような啓発運動を通して、個人の意識を変えて行く事が望まれる。

 

      

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コメント

差別は様々な形をとってあらわれます。人種、社会階層の出自、ジェンダー、学閥、派閥・・・・差別は今もいろいろです。私自身も差別にあった経験もありますが、私が他の人を差別したこともあるやもしれません。気を付けたいものです。
 

ピーターフランクルさんの略歴によると彼は11ヶ国語を大学で講義できるほどのレベルで話すことができる素晴らしい能力の持ち主だそうです。ユダヤ人の中にはこのように学問、芸術の分野で突出した能力を示す人が数多くいます。長年迫害された歴史を持つユダヤ民族にとって、知的能力こそが何人も奪うことができない財産という考え方が根付いているからだそうです。今回の講演もとても説得力のある素晴らしい内容だと思います。差別意識は本人が意識するしないにかかわらず誰の心の中にもあり、今回取り上げられた例は論外だとしても、日常生活の中で差別を感じさせる
行動なり、発言は多く見られます。ただ差別なのか
差別でないかの判断は簡単ではない場合もあると思いますが、、。

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