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2011年8月 4日 (木)

アーサー・ビナードさんの講演から-③―「ここが家だ」

 アーサー・ビナードさんの講演でもう一つ心に残ったのは、第五福竜丸を題材にした絵本「ここがの家だ―ベン・シャーミンの第五福竜丸」(集英社、日本絵本賞)についての話です。

 第五福竜丸がビキニ環礁でのアメリカの水爆実験で死の灰を浴びて被爆をしてか57年になります。ヒロシマ、ナガサキに続く第三の被爆として世界中の関心を集めました。

 このときの第五福竜丸が取った行動については、私は、ビナードさんの話を聞くまでは全く知りませんでした。大変恥かしいことです。でも、ひょっとすると日本人の多くは知らないのかも知れません。それは情報が正しく伝えられていなかったと思われるからです。

 私たちが知っているのは、23人の乗組員が放射能症に苦しみ、半年後には無線長の久保山愛吉さんが亡くなったという悲劇だけです。かわいそうな久保山さん、気の毒な乗組員という被害者の物語、犠牲者の物語が広まりました。

 しかし、第五福竜丸が日本に帰り着くまでに久保山船長の適切な判断と乗組員たちの取り組みがあったのです。そのことをビナードさんの話で知りました。

 ビナードさんは、「第五福竜丸は被害者の物語ではなく、勝者の大叙事詩だ」と捉えています。

 第五福竜丸は水爆という軍事機密に触れて「死の灰」を浴びたのだから、米国防総省が証拠隠滅の一環として、撃沈を考えるはずです。つまり第五福竜丸は米軍によって海底に沈められるかもしれなかったのです。それなのに、2週間かかって焼津に戻ってきました。消されないで生還を果たしました。これはすごいことだと話しました。

 それは経験豊かな久保山さんが即座に、米軍の軍事機密に遭遇してしまったと察知して、みんなに指示したからです。「船や飛行機が見えたら知らせるように。その時は焼津に無線を打って、自分たちの位置を知らせる。それ以外は無線は打たない」。米軍に無線を傍受されたら攻撃目標にされるとわかっていたのです。

 もし発見されてしまったら、焼津に無線を打って場所をしらせるつもりだったのです。戦時中、徴用船に乗った経験もあった久保山さんだからできたことだと思います。生き残るために何をしなければならないか心得ていました。

 さらに大事なことは、生き証人として、証拠品の「死の灰」を持ち帰ったことです。その結果、ビキニ事件が広く伝わり、原水爆禁止の動きが世界的規模で湧き起こったのです。

 ベン・シャーンが描いたラッキードラゴン(福竜丸)シリーズの絵に、ビナードさんが文を寄せて絵本にしたのが「ここが家だ――ベン・シャーンの第五福竜丸」(集英社、07年に日本絵本賞)です。

 ビナードさんはこう書いて警告しました。「ひとびとは 原水爆を なくそうと 動きだした。けれど あたらしい 原水爆を つくって いつか つかおうと かんがえる ひとたちもいる」

 私はこのエピソードを知って感動しました。それを絵本にしたビナードさんも素晴らしいと思いました。

 

 

 

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コメント

私は、これとかなり重なる講演を、新しい絵の会の全国図工美術教育研究集会(埼玉・8月4日)で聞き、やはりとても感動しました。私たちもだまされないために、もっとしっかり事実を知る必要がありますね。そして、今こそ大きな声で言いましょう「原爆も、原発もいやだ!」と。

アメリカ人なのに日本語や言葉に造詣が深いだけでなく、原爆、原発にも正しい理解をしていることにおどろきました。

アーサービーナードさんの講演、一つ一つがとても興味深かったです。
物事を深く見つめ、考えることの大切さを教えられました。これは今の日本社会に求められていることだと思います。
講演会に行ってみたかったです。

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