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« 第37回国語教育研究集会(名古屋児童言語研究会) | トップページ | アーサー・ビナード氏の講演より―②― »

2011年8月 2日 (火)

アーサー・ビナード氏の第37回国語教育研究会での講演から

 名古屋児童言語研究会主催第37回国語教育研究会で講演をしたアーサー・ビナードさんという人物について、恥ずかしながら、私は名前すら知りませんでした。従って、全く白紙の状態で講演を聞いたのです。いうなれば一読総合法ですね。(いや、一聴総合法かな?)

 このblogを書くに当たって、Googleの検索窓にアーサーと入れただけですぐにヒットしました。それほど有名な人だとわかりました。Wkipediaでざっと調べ彼についての知識を得ましたが、今はそれには触れません。

 彼は、講演の演題に書かれた、詩人、翻訳家、随筆家、翻訳家という肩書きを見て「肩書きが一杯付いていますね。でも私は『詩人』だと言っています。なぜなら詩人は全てを含むからです。」と、流暢な日本語で話し始めました。

 彼が若く見えたので日本語の能力に驚きました。講演が進むに連れて彼の日本語がイントネーションだけでなく、文章力、日本語の知識などどれを取っても普通の日本人をはるかに超える素晴らしい日本語能力だと知りました。完璧でした。

 後で調べて、彼は現在44歳ぐらいで、日本に来たのが1990年ですから、僅か20年ぐらいで完璧な日本語を身につけたのは驚きです。(尤も日本語に興味をもったのは大学時代後半だとか)

 在学中に恋人を追ってイタリアに行き、ミラノでイタリア語を習得したようですから、彼は語学の天才なのかもしれません。

 前置きが長くなりましたが、講演の題は「ことばネガネ」でした。」

 「ことばメガネ」とは、興味を惹く名付けです。その辺にも詩人としての言語感覚が働いているのでしょう。

 彼は、同名の「ことばメガネ」という絵本を大月書店から出しています。(1300円)その中身を紹介しながら講演を進めました。

 彼は、いきなり、「言葉を疑って使う」と言いました。「疑って使う?」と聞いて「?」と思いましたが、講演を聞いて納得がいきました。言葉はもの(事象)の一部しか表現していないということです。その向こうに大きな宇宙があると彼は言いました。

 彼は、講演のイントロの部分で、蛙の話をしました。何でも彼は蛙が大好きなのでそうです。子どもの頃おたまじゃくしから蛙になるのを観察するのが楽しみであったそうです。また、蛙になりたいとも言ってました。彼は、いったい何時を境におたまじゃくしから蛙になるのかと質問しました。

 おたまじゃくしが蛙になるときに後足が生え前足が生え、尻尾がちじんでなくなり蛙になるのですが、その境目は何時なのかというのです。

 おたまじゃくしは英語ではtadpoleですが、アメリカの半分ぐらいではpolliwogというそうです。面白いですね。

 そのおたまじゃくしですが、鰓呼吸をしています。それが肺呼吸に変わるのですが、そのときがおたまじゃくしと蛙の境目だと言いました。カエルはその瞬間をどう感じるのだろうと言いました。

 次に、私たち人間は、「ことばで世界を見ている」と話しました。どういうことかと言いますと、例えば、アメリカ人は”英語メガネ”を掛けているし、日本人は”日本メガネ”を掛けているということです。

  それぞれの言語のメガネで世界を見ていると言うのです。確かにその通りですね。

 私は、英語とほんの少し中国語もかじっていますから彼の言うことがよく分かります。英語のメガネを掛けて喋るときと、日本語メガネで喋るときでは、気持ちのもちようまで違って来ます。

 彼は、昆虫も大好きなのだそうです。子ども頃よく観察をしていたと言いました。

 「pillbugって何のことかわかりますか?」と質問しました。私は知りませんでした。でも、日本名を聞いてすぐに分かりました。ダンゴムシのことです。英語メガネでは、pillつまり錠剤に見えるのでそうつけたようです。日本人には、ダンゴに見えたわけですね。

 彼は、団子虫と聞いたき、とっても驚いたそうです。彼は、あの串に刺した団子を思い浮かべたのです。でも、私たち日本人は、ダンゴは必ずしもあの食べる団子のことだけではなくて、形が丸いものをダンゴということを知っています。ですから、ダンゴムシがちっぽけでも丸くなるとダンゴに見えるというわけです。

 彼は言いました。pillにしろ、ダンゴにしろ、その虫の極く極く一面しか表していなくて、その向こうにダンゴムシの大きな世界があることは分からないというのです。ホント、そうですね。

 日本語で”折鶴ラン”というのがありますが、英語では何と言うのでしょ?”Spider Plantsだそうです。その部分を絵本を手に読んでくれました。

 「となりの花屋さんの店先には、りっぱなはちうえのオリヅルランが置いてある。ぼくはいつもそれを見て、ほんとうに折り鶴がたくさんぶらさがっているみたいだなあと思う。でも、きょうは・・・・・・

 ずいぶんちがう。モゾモゾモゾモゾうごめいているような、足がなんぼんもあるような感じ。『あっ、クモが大集合しているじゃないか!』とぼくがさけぶと、おやじさんはわらった。『イエス!ライト!オリヅルランのことを英語ではスパイダープラントと呼ぶのであります』」

 この絵本は、竜二という少年が偶然に英語メガネという変なメガネを眼鏡屋の店先で見つけてお試し体験をするという物語なのです。

 オリヅルランが蜘蛛とは!そう言えばアメリカから輸入されたハナミズキという綺麗な花の木があります、私の大好きな花?です。この英語名は何とDog treeです!

 オリヅルランをいい、ハナミズキといい、日本人の感性のよい一面を表していますね。

 という訳で、「ことばメガネを掛け替えてみると見えてくるものがある」と彼は言いました。その通りだと思います。

 彼は、英語メガネと日本語メガネだけで一生書ききれないぐらいのネタがあると言っていました。

  ―つづく―

 

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コメント

アーサー・ビナードさんがまた名古屋で講演をされるのですね。聞きたかったという人たちがいます。会費とかもう少し情報をいただけたら嬉しいです。 

アーサーさんの講演録を掲載してくださってありがとうございました。12月3日(土)午前10時から、名古屋YWCA 2Fのビッグスペースでアーサー・ビナードさんの講演会が開催されます。
テーマは、「平和利用」な~んちゃって!フクシマとヒロシマとアメリカを結ぶ道 
時折ユーモアも交えながら、物事の核心をついていく話しぶりは見事ですよね。ぜひ、大勢のみなさまにご参加いただきたいと願っています。

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