再び10%恒久減税について―その陰で大損をするのでは?
河村市長は、減税日本を全国に広げるために、東京や静岡など各地で次の統一選挙での公認候補や推薦候補を増やしていると言う。
彼が言う減税については、いろいろな意見が出されており、必ずしも多数に賛成されている訳ではない。
それは、例えば名古屋市の場合、地方交付税交付団体に転落してしまったのに減税をするのはおかしいという意見である。他の市町村が収めた税金から金を貰うのは理屈に合わないことである。
その点では、神野直彦東大名誉教授の次のコメントが正鵠を得ていると思う。
「自分のところの税金は安くする一方、他の地域で取った税金は地方交付税の形で受け取りますというのは虫のいい話ではないか。」(朝日新聞7日)
もう一つは、住民サービスが低下する問題である。これについては、先日も指摘したが、大半の住民にとって10%減税の恩恵がないか、あっても微々たるものなのだ。それより保育所の待機児童をなくす方策とか病院医療を維持してもらうとか介護施設がますます不足して来る中で特別擁護老人ホームを増やすとか、養護施設への補助金を減らさないとか・・・・・そちらの方が大事なのだ。
片方で数千円減税した貰っても他方で何万円も損をしていることに気づかなけらばならない。その点でも、先の神野名誉教授は、次のようにコメントしている。
「減税ありきではなく、住民に必要なサービスをまず先に決め、それに必要な財源をどう効率的に使うかを決めるのが順序である。」
更には、子供たちに負担を残すことになるのではないかという危惧もある。名古屋市の市債残高は1兆8千億円にもなるという。(私も市債を買ってその一部に貢献している?が。)河村市長は、行政改革をして減税分を浮かせると言っているが、その実は福祉予算の削減であり、市有地の売却であり、病院施設の民間移転である。
先日我が家の近くのスーパーの前で、民主党を離党し減税日本に走った佐藤夕子衆議院議員が応援演説をしていた。私はじっと聞いた。どんな主張をするのか確かめたかったからだ。立ち止まって聞いていたのは私だけであったが。
彼女が政策として話したことは、河村氏がいう、3つのスローガンだけであった。いわく、10%減税、議員報酬半減、地域委員会の全市設置である。それ以外は何をやっても自由だとも言った。しかし、そんなことは信用できない。河村チルドレンとして盲従することは目に見えている。
減税を叫ぶ人たちのやることは、新自由主義ではないのか?小泉、ブッシュが叫んだ自己責任、小さな政府、その結果の利潤追求容認経済政策とどう違うのか。弱肉強食が広がり、格差が拡大し、世の中がすさむことになりはしないか?それを怖れるのである。
下記は首都圏に住む友人からのmail
「私は河村たかしという人がどんな方であるか、名古屋市政がどうなっているのか、よく知りませんが、テレビで観る限りでは、市長選に当選した日に水をかぶってみせるとかのとんでもないパーフォーマンス屋で、これは信頼できない男であると思いました。
しかしこれは表面的なことで、彼のスローガンは、10%減税、議員報酬を半額にする、議会定数の半減といったワンフレーズポリティックスで、しかも裏には小沢一郎が控える恐るべき政治屋です。
名古屋市民はこの辺のことを見抜いてほしいと願っています。」
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自分のサポーターで議会を構成し市長の言いなり議会を作ってしまうと、その後が恐ろしいです。明日の選挙の結果がどうなるのか・・・・。ちゅうもくしています。
投稿: らら | 2011年3月12日 (土) 08時21分
河村たかしは庶民が幸福になる政治をしたい、庶民の味方だと言う姿勢を取っていますが、小泉真一郎の様に演技生パーソナリティの持ち主ではないでしょうか。
舞台の上で華々しくアッピールしたい人ではないでしょうか。
しかし、自分の給料も半減して自分のマニフェストを実行しようと、現在の議会制度を無視して、直接民主主義に誘導する彼の姿勢は、独裁になる可能性があり、市民のために善政となるか悪政となるか?
投稿: maron | 2011年3月11日 (金) 10時46分
私は、多くの善良な市民は、河村市長の自らの報酬を削ったことに感動をしてるのだと思います。しかし、一方でマスコミも指摘するように、福祉が削られ市民サービスが低下して行くことにも目を開くことが大切だと思います。10%減税によって何が影響されるのかです。市長や減税日本は、減税で恩恵を受けた人(金持ち)や企業が寄付をすればよいと言っていますが、そんな甘っちょろいことは信用できません。
投稿: らら | 2011年3月10日 (木) 21時04分
筆者の友人は名古屋に住み、河村市長の熱烈な支持者である。彼曰く「河村市長はブログにもある3つの公約を掲げ圧倒的な支持を得て当選した。ところが議会の反対により、この公約はことごとく否決されてしまった。普通であれば、議会と適当なところで折れ合って、後は任期満了まであまり波風を立てずに過ごし、
あわよくば2期、3期と勤め上げ、億を越す退職金をもらって退任するのではないか。
それをせず、約束した公約(投票した人達が全てその実現を望んでいるかどうかは別として)を履行するためにあえて今回のような挙にでたのは立派なのだと。
現にあれほど猛反対した年収800万円について、民社党を始め多くの立候補者が賛成に廻っている。
彼の一連の活動を暴挙と見るか、ぶれない信念の男と
みるか見方が分かれるところです。
でも今回は彼への投票でないので名古屋市民は冷静な
判断をするのではと思われます。
投稿: Toshi | 2011年3月10日 (木) 18時09分