坊さんが隠すお寺の話を読んで―坊さんの位も金次第―
先日、芸術院会員になるには、相当の金を使わなければならないという新聞記事を取り上げた。
地下鉄に乗っていて隣の人の読んでいたスポーツしに、「人間国宝になるには2億円?」という見出しが躍っていた。歌舞伎役者のことらしかった。
僧職もおなじであるそうだ。どの宗派にも、最下位の○○補といった位から最高位の大僧正などの位まで、12、13の位があるのだという。この僧階にも賦課金がかかるのだそうだ。その辺は、家元制度のあるものとよく似ている。
出世するためには、いろいろな方面にコネをつくり、そのために金品を贈り、本山にも多額の寄付をして、だんだんと位を上って行くのだとか。僧正クラスになるには2000万円という話もあるらしい。(P.160)
役人や、教員の世界も、会社など勤め人の世界も同じだ。出世するためには、金を使わなければならない。上手に金を使って動いた者が出世をするのだ。役人は公金をうまく流用して資金にすることもあったと言われる。
人間である以上僧職にあってもその例外ではないのだ。釈迦の教えはそういういう欲望から離れる道を教えたのだが、釈迦の死後、その教えがゆがめて伝えられた。そして長い年月の間に権力と結びついたり、庇護を受けたりして、巨大な力をもつようになった。日本では、江戸時代になって幕府の統治に組みこまれて出来上がった仕組みのなかで、職業としてのお寺になって、それが今日まで続いているのだ。
しかし、最高位から最下位までの位階制度をもつのは、仏教だけはなく、キリスト教やイスラム教を始めとしてどんな宗教にもある。私の考えでは、宗教に位階制度や本山、末寺院の制度は必要ないと思うのだが、厳として存在し信者を支配している。カソリックなどは、1つの国を形成し、法王が君臨している。
だから仏教だけをあげつらえても仕方がないといえばそれまでである。
著者の村井幸三氏は、「いっそのことお寺を信仰面で明快に解剖して実態を明かし、さらに法人としての経営の内実を公開してはどうでしょうか。」(P.184)と言っているが、前半の部分は分かりにくい提言である。
私は、ます第一に、釈迦の教えに立ち戻って、各宗派の宗旨を明確に分かりやすく説明することが大事であると思う。
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