「坊さんが隠すお寺の話」を読んで―①―
本屋で「坊さんが隠すお寺の話」(村井幸三著、新潮新書)を見つけてパラパラと見たら興味をそそったので買った。
著者は、仏教に関心がある人で自身が転宗をして真言宗になったと言っている。だから現存仏教の中に身を置いているのだが、葬式仏教の由来や現状についてかなりはっきりと意見を述べている。
現在全国には7万5866寺(平成19年)の寺があって、そのうち1万5千余りが無住の寺だという。空き寺の原因の一つは、農村人口が減って大都市圏に人びとが移ったことだという。それにともない「家」がなくなり、菩提寺を必要としなくなったことがある。
空き寺があっても、実際に減った寺の数は平成18年度でたった39しかないそうだ。それは宗教法人格が金銭で売買されているからである。宗教法人は税制上の特典などさまざまな特典があるので買い手はいくらでもあるのだという。
寺院は、本山などの修行寺、祈願寺、菩提寺、観光寺に分類されるという。しかし、それはその寺が何か1つに特定される訳ではない。祈願はどこの寺院でもやっているからだ。
永平寺のような寺は修行寺で、一畑薬師寺のような寺は祈願寺だし、清水寺などは観光寺だ。そして多くは菩提寺といって檀家を持つ寺である。
昔聞いたところでは、「あそこの寺は檀家が300軒あるからよいが、うちはそんなにないので苦しい。」と言っていた坊さんがいた。その人は学校の教師をして稼いでいた。この本によると、檀家は400軒いるという。それだけ厳しくなったのだろうか。
一方、お寺に頼らずに自分で行う自由葬や直葬が増えていて,そうしようと考えている人は1000万人を超えて来たそうだ。前にも書いたように私も自由葬でよいと考えている。
そうした人が増えてきた原因を作ってきたのは他ならぬ仏教界である。そして近年それに手を貸してきた葬儀屋の存在があると指摘する。
法外な戒名料、法事や葬儀の読経料、お寺と結託して、使い回しの祭壇で華美な葬儀を勧めて金儲けをしている葬儀屋が元凶なのだという。私の経験からも、これには全くその通りだと納得する。
ーつづくー
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