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2010年11月13日 (土)

クローズアップ現代―我慢の芸術に感動―

 11月11日にNHKのクローズアップ現代で「我慢の芸術」が放映された。7:00の地デジのレギュラーを見始めたらすぐに眠ってしまい、眼が覚めたら後半であった。しまったと思ってBS2の番組を録画予約しておいた。次の朝それを最初から見て戦前にアメリカにわたった日本人の素晴らしさを深く感じた。

 「我慢の芸術」はアメリカのスミソニアン博物館で「THE ART OF GAMAN」と題して開かれている展覧会の作品のことである。

 太平洋戦争が始まるとともに、アメリカに住んでいた日系人は、みな財産を奪われ身の回りの品だけで強制収用所に入れられた。収容所での苦しい生活が戦争が終わるまで3年半ほど続いた。

 その間にそこに住む人たちは日用品を始めさまざまなものを作った。収容所は砂漠の中に作られたので人びとは砂漠で拾った木のかけらや石ころや岩やいろいろな物を利用して作ったのだ。

 流木を使って飾り物を作る芸術が日本にはあるが、砂漠で拾った木で牛や蛇や鳥などが作られた。

 地面を深く掘って出て来る貝殻を利用して花を作った人も入る。さまざまなブローチ類、人形、小さい箪笥、岩で作られた立派な硯、ステッキ、下駄・・・・。それをとっても立派な工芸品である。

 そうした作品は、自分の子どもたちにも見せることなくしまわれていたのだという。それを、全米を回って掘り起こした日系三世の女性がいた。彼女は1000点にものぼる作品を集めた。

 それがアメリカ人の協力でスミソニアン博物館で展示され、多くのアメリカ人に感動を与えているのだ。

 強制収用所の過酷な生活の中でそうしたさまざまな日本の伝統的な工芸品を作り出したその精神は見事である。国谷キャスターが、「今の若い人たちがそういう状況に置かれたら何もできないでしょうね。」と言っていたが、若い人だけでなく、私たち高齢者でも・・・・少なくとも自分だったら出来ないだろうと思った。

 それを作った人の出自は、日本では生活ができないので、新大陸に渡って一旗上げようという農村の人が殆どであったと思われる。おそらく彫刻を習ったことがないであろうし、ブローチなどの工芸品を作る技術も習ったことがないものと思われる。

 そういう人たちが、かつて見た物を思い出しながら制作したのではなかろうか。それを可能にしたものは何か。私なりに考えてみると、私の祖父の時代までは、生活の中で自分で物を作る手作りが多かった。だから昔の人は生活に必要な物を作り出す技術を子どもの頃から自然に見につけていたのだ。

 だからアメリカとかブラジルとか未知の土地に行ってゼロからの開拓をしても、全て自分の手で作り出すことができたのだ。

 翻って自分を見るに、祖父たちの世代が身につけていたような技術は何もないと言ってよい。私たちの年齢の者は子どもの頃、まだ、小刀を使い、のこぎりを使い、かなづちを使っていろいろな物を作った経験がある。それでもこの歳になって祖父たちのことを思い出してみるとはるかに劣っていることを感じるのだ。

 まして、最近の若い人たちは、子どもの頃に小刀やかなづちなどを使うことを危険だからと遠ざけられて育っている。だから何かを手作りで作り出す能力はさらに劣っているに違いない。

 戦前までは、物を作る技術を持った人が普通に存在したし、お互いに伝え合う仕組みがあった。現代はそういうものがなくなってしまっている。

 アメリカの強制収容所に入れられた日本人が素晴らしい工芸品を作ったということは素晴らしいことであり、それが戦後65年もたってアメリカ人に大きな感動を与えていることは本日人として誇らしいことである。

 戦後の発展の中で、そうした生活にねざした基本的な生きる技のようなものが失われ、同時にかつて日本に来た外国人が賞賛した日本人のすぐれた人間性が消えてしまったのは残念でならない。

 スミソニアンで展示された作品を是非日本でも巡回して展示してもらいたいと思う。

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