セロトニンと呼吸との関係―「ストレスをなくす心呼吸」から
「ストレスをなくす心呼吸」という本(高田明和著、リヨン社刊)を読んだら、呼吸が大切だということを詳しく書いてあった。その中から核心部分を抽出して紹介したい。
「最近(※この本は2006年に出版された)の脳の研究で最も注目すべきことは、呼吸が感情、なかでもストレスからくる”うつ”の改善に非常に関係していることがわかったことです。」(P.97)
うつの治療には脳内のセロトニンという物質を増やす薬が最近では使われているという。その薬をいろいろ使ってわかったことは、脳内のセロトニンが増えると精神が安定し、うつがなおるということだったそうだ。
セロトニン神経が分布しているところはいろいろあるが、なかでも感情の場である扁桃、帯状回、さらにその作用をコントロールする前頭前野にセロトニン神経からのセロトニンの放出が少ないとうつ状態になるという。つまり、セロトニンとうつが深い関係があるということだ。(P.74)
次に、セロトニンと呼吸との関係はどうなっているかが分かったというのだ。
呼吸は血液中の二酸化炭素の量によって調節されている。
「息を止めると苦しくなるのは、二酸化炭素が呼吸中枢を刺激し、この刺激が大脳につたわるからである。息を止めた後に速く呼吸するのは、呼吸中枢の命令で速く二酸化炭素を外部に出し、血液中の二酸化炭素の量を減らそうとする仕組みがあるからだ。」
この神経がセロトニン神経だということがわかったのだという。全てのセロトニン神経の細胞体は、二酸化炭素で刺激されるということもわかったという。
呼吸をゆっくりとして、脳内の二酸化炭素を増やすことは、結果としてセロトニンを放出させることであり、精神を安定させることにつながるのだという。呼吸をゆっくりと滑らかにさせれば絶え間なくセロトニン神経が刺激され、精神が非常に安定する。それは無料でセロトニンを増やす薬を飲んでいるようなものだというのだ。何とも結構な話ではないか。
著者は、座禅などは精神を統一するためのもので、なぜゆっくりと呼吸をしなければいけないのかがわからなかったが、最近の呼吸の理論から呼吸をゆっくりさせることは精神を安定させる力があることがわかったという。(P.83)
呼吸法は、「腹式呼吸」が大事で、ゆっくりと呼吸することだという。私は、合唱をやり始めてから腹式呼吸を意識的にやるようになった。一般に女性は腹式呼吸が苦手で男性の方がやりやすいといわれる。また、寝て呼吸をすると腹式呼吸が簡単だとも聞く。
要は、腹式呼吸で、いつでもどこでも思いついたときに意識してゆっくりと呼吸をするとよいそうだ。だから電車のなかでもオッフィスでもどこでもやれるのがいい。
寝る前や起きたときなどにゆっくりと腹式呼吸をするのもよいと思う。そうやってセロトニンの放出を増やすと心が落ち着き、健康にもよいのだ。
もちろんうつの人によいことは言うまでもないという。私たちの身体にもつそういうよい仕掛けを利用しない手はない。
次は、セロトニンとジョギングや歩行の関係について紹介したい。
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