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2010年9月17日 (金)

映画「キャタピラー」を観てきた

 15日は、久しぶりに雨が降りちょっと暑さが遠のいたので思い切って映画を観に出かけた。ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した寺島しのぶの演技が話題を呼んだ映画「キャタピラ」が観たかったのだ。

 名古屋駅近くのシネマスコーレで上映しているのだが、初めて行くのでインターネットで調べて行った。建物に、何とカラオケと大きく書いてあるビルの1階にある小さな映画館であった。

 スクリーンが小さく、客席は58席のこじんまりとした映画館で、若松孝二監督が作ったものらしかった。

 映画は、中国人女性に銃剣を突きつけて強引にレイプをするシーンから始まった。だが、映画の終わりの方までこの冒頭のシーンの意味が分からなかった。

 寺島が演じるシゲ子の夫久蔵は、中国の戦地から両手足を失いながらも奇跡的に命が助かって帰って来る。

 最初、それを受け入れられないシゲ子であったが、現実を認めて世話をしようと決意をする。

 久蔵は、金鵄勲章を受章し生きた軍神として称揚され、信州の山奥の村の誇りとなる。体が元気になると村に連れ出され村人に崇められる。

 久蔵は、四肢がないだけでなく、喋ることも出来なくなっていた。体が元気になると、食べることとセックスだけが生きがいみたいになる。シゲ子はそれを受け入れ毎日のように求めに応じて受け入れる。

 最初のうちは、世話をすることが軍神の妻として当然のこととしていたが、戦争がひどくなり、食糧も欠乏してくる中で、自分のおかれた立場が惨めになってくる。

 その中で、かつて暴力的であった久蔵のことが思い出され、今は何の抵抗もできない久蔵に強く当たるようになる。

 時には村の中にリヤカーに乗せて連れて行き”軍神”を見せびらかす。久蔵はそれを嫌がるようになる。

 寺島は、変わって行くジゲ子の様子を体当たりで演技している。一方の久蔵役の大西信満も好演である。顔の演技が中心だが懸命に演じている。

 この映画は、戦争への痛烈な批判であることは間違いがない。久蔵はレイプをしたときに爆発に巻き込まれ四肢を失うことになるのだが、軍はそれを隠して勇敢にも敵に突撃をして名誉の負傷をしたのだといい、生きた軍神として戦意高揚に利用するのだ。アッツ島などの玉砕の扱いと同じである。

 靖国神社には、死んだ兵士や将校などの軍人が軍神として祀られている。これも死して神に列するという方法で国民を巧みに戦争に駆り立てたのであった。

 この映画には、度々昭和天皇と皇后の写真が出てくる。私が子どものころには一般の家庭にも飾られていた。保守的な農村では当然のことであった。この天皇の写真を出すことで、天皇の戦争責任を暗黙の内に示唆しているのだと思う。

 生きて軍神となってもダルマの身体と喋れない状態では生きる望みもなくなる。そこへ久蔵にはレイプをしたことがトラウマとなって日夜襲ってくるようになる。今で言うPTSD(心的外傷ストレス障害)である。あれほど求めていたセックスもできなくなる。それに対して、シゲ子は自ら久蔵にまたがりどうして出来ないのかとなじる。

 久蔵は、土間に転がって行き、自分の頭を強くぶつけて死のうとあがく。それを見て、シゲ子は「芋虫ごろごろ・・・」と歌う。芋虫は英語ではキャタピラである。

 シゲ子はそれでも一家の働き手として田畑の仕事などをこなす。戦局はますます厳しくなりついに敗戦の日を迎える。そのときシゲ子は田んぼに出ていた。

 久蔵は必死になって這って水辺まで行く。覗き込んだ水面には毛虫(英語ではキャタピラ)が浮いていた。その水に身を投げる。敗戦でもはや軍神ではなくなったことを悟ったからなのか、トラウマから逃れるためなのか・・・。

 最後は、元ちとせが歌う「死んだ女の子」が3番まで流れて終わる。

 戦局が厳しくなる映画のシーンとして、東京大空襲、沖縄戦、広島、長崎の原爆投下などが挿入されている。

 題名がキャタピラという英語であるのは何を表しているのであろうか。手足をなくした状態は、キャタピラと似ているが、キャタピラは自由に動くことができる。久蔵はキャタピラ以下ということになる。この英語名が象徴していることは私にはわからない。(下に、若松監督の言を引用しておく)

 

 僕は、自分で権利を全部持つというスタンスで映画を作ってきた。最初「芋虫」という題名にしようと思って、江戸川乱歩に同じタイトルの小説があるから、許可をもらいに話をしにいったら、「150万」って言われて、冗談じゃないよ、そんなの払えるかって言ったら、今度は「50万でいいよ」って言ってきて、バナナの叩き売りじゃないんだって(笑)、断ったんです。戦争から犠牲になって帰ってきたというのは参考にはしましたけど、内容がまるきり違いますからね。芋虫を英語でいうとキャタピラー、それでいこう!ってこのタイトルにしました。

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コメント

コメントを有難うございます。シネマスコーレは小さい映画館でスクリーンも小さいですが、シートはしっかりしています。また、今は観客は多くないと思います。

始めまして、「シネマスコーレ」でググってお邪魔しに来ました!
「キャタピラー」見に行きたいと思っていますが、劇場が狭いという点で躊躇しています!
この記事を読ませて頂いてスゴク参考になりました!!!  有難うございます!
今日名駅へ出て劇場が空いていたら観て見たいと思います!

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