偽物・偽装横行で困ること
Ninjaさんのコメントに触発されて、私の意見を述べます。
Ninjaさんのご意見によると、『「偽物を平気で作ってはいけない」というのが西欧が発明者、生産者の立場を保護する為に長年かかって作ってきたモラルです。買う方は、法で保護された高い価格で買わざるをえません。』と書いておられます。
ブランドを守る発想は西洋から出たもので、しかも、長年かかって作って来たというのはその通りだと思います。
昔は、勝手気ままにやりたい放題で、人の物を真似して作っていたのが、次第にそれではいけない、もっと個人の権利を守らなければいけないということで、法律に定められるようになったのだと思います。狭い地域社会の中での生産・販売の場合はやり放題でよいのでしょうが、交易範囲が広がると単なる信用問題の枠を超えてきたのではないかと思うのです。だから法律という規制を作って保護しようということになったのだと思います。それが市民の権利を認める先駆となったヨーロッパで始まったというのは理解できます。
さらに、交易が広がってグローバル化して来ると国際的な取り決めが必要とされ貿易や関税、そして著作権などの取り決めがなされたのだと思います。
かつて、ベトナムに行ったとき、ベトナムの人が、「中国から日本製そっくりのホンダのオートバイが入ってくるが、価格は安くてもすぐに壊れる。」と話してくれました。見た目は、ホンダなのに、粗悪な作りなのです。
同じような問題は、昨年オーストラリアに行ったときにも見聞しました。見た目は日本のブランドの味噌やラーメンが中国や台湾製で味も全く異なるのです。
彼ら製造者は、日本の製品がよいことを知っているので真似をして偽物を売っているのです。
こうしたことが横行すると何が困るかと言いますと、初めから偽物だ、粗悪品だとわかって買った人は覚悟していますからいいのですが、何も知らないで買った人は本物なのに何と粗悪だろうとか、食品の場合は、中国風の味を日本の味だと信じてしまうことになります。
グレシャムの法則ではありませんが、まさに悪貨が良貨を駆逐する」事態が起こりかねません。
中国国内とか、自国内での流通だけならまだ許せますが、例えば、精巧な贋作の絵画を大量に且つ組織的に作っている村が中国にあるのですが、書画の場合本物と見分けるのは、熟練した鑑定の眼が必要です。一般人は簡単に騙されてしまいます。
偽物や偽装は中国だけでなく、日本でも頻繁におきています。悪徳な人間がいる限りなくならないでしょう。それでも中国の場合は酷すぎると思います。
私は、日本が偽物の持込を厳しく取り締まっているのはよいことだと思っています。本物だから価格を高くして買わされるという問題とは別だと思います。偽物を偽物として明示して安い価格で売るのは勝手でしょうが、偽物を本物として高く売ることは詐欺です。
百円ショップの品は、安いが品質は劣るとみな承知して買っています。しかし、百円ショップで偽物を扱うことはありません。買う方も安い本物として見ているのです。
偽物を本物と偽ることや偽装することは許されるべきではないと思います。
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おっしゃるように、アメリカのように金があって研究開発に豊富な資金が提供される国では、新しい発見、発明などはアメリカに断然有利です。
遺伝子技術とかES細胞の応用でもアメリカが特許を取って大儲けができると言うことはありますね。そういいう意味では強いもの勝ちです。
長い論を展開していただき大変参考になりました。有難うございました。
投稿: らら | 2010年9月 5日 (日) 11時50分
私は潜在的に「権」に反撥をもっています。「ブランド権」にしろ「所有権」にしろ、個人の権利を守ることは大切な事です。しかし、国際的な取り決めにしても「なになに権」というのが、誰の権利を守るのか、強い者の権利を弱い者に押し付けているのではないかという疑惑をいつも持っています。
「知的所有権」というのがあります。それは音楽とかアニメの著作権を守るものと思っていました。ところが名大の先生から、「日本は予算を削るために基礎研究ができなくなり、アメリカにどんどん基礎研究の知的所有権を取られてしまう。そのため研究したいテーマを持っても、それが知的所有権に触れるために研究に取り組めなくなってしまう。」という愚痴を聞かされたことがあります。残念ながら彼は若くて亡くなりましたが、彼は米に関して、世界的な学者でした。
「知的所有権」の中身をそのように知らされてから、私は「〇〇権」というものを、強い者の「金儲け権」を守るものという意識が強く植え付けられました。
関税協定が国際的に結ばれるといっても、日本の自動車を売るために、アメリカの農業を儲けさせるために、日本の農業をぎせいにするという偏見に陥らざるを得ません。
これが本来の弱い者を守る権利に戻った時に、私の誤った意識は払拭されるでしょう。
中国の問題については、実情を全く知らないので論議はできません。ただ、たとえ取り締る意志があるとしても、現実には取り締れない実情があるのだと思います。その実情をぜひ知りたいです。
中国的というか、アジア的というか、タイでも法律はあってもその法律によって取り締まることはとても困難で、実際には施行出来ない事がたくさんあります。
例えば無免許運転。高校生はおろか、小学生でもバイクを乗り回しています。バイク通学の高校生を取り締ろうと思ったら、私のいる町だけでも学校周辺の辻々に500~600人の警察官を立たせてつかまえないと、1000台からのバイクを捕まえることは不可能でしょう。そして、翌日からは高校は麻痺してしまうでしょう。
ドラえもんや仮面ライダーのCDの海賊版が30円~50円程度の安値で手に入ります。うちの子供たちはその恩恵に浴しています。日本のアニメ文化がタイに浸透しています。多分海賊版の取締法もあると思います。が、とりしまりはきつくないようです。
きちんと取り締って、日本のアニメが正当な価格で販売され、アニメ製作会社のパイが大きくなり、労働者の労働条件がよくなるとは現状では考えられません。実状はタイの経済効果が高まり、日本のアニメ文化が広がるプラスの方が大きいように思われます。
ひねくれた考え方ですが、一寸考えてみました。
投稿: Ninja | 2010年9月 4日 (土) 09時50分