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2010年9月 5日 (日)

中国人の商法

 20数年ほど前に、2回目の海外旅行でシンガポールに行ったとき、ビルの中にある中国系の人が経営する店に入った。そのとき、何を買おうとしたのか覚えていないが、商品を見て値段の交渉をした。お互いに値段を言い合って最初の値の50%ぐらいになったと思う。でも、買わずに店を出た。すると店主が追っかけてきてさらに値引きをするから買ってくれと言った。でも、買わなかった。

 その後15年ぐらい前に中国に旅行した。蘇州で美術品を売る店に入り版画の気に入ったのがあったので値段を聞いた。話をしていると値札の値段よりだんだんと下げて行った。でも、買うのはやめて店を出た。すると店の人が追いかけてきて50%余りの値引きを提示した。そのときは買う気が失せていたので買わなかった。

 その後も中国に行く機会が何度かあった。中国では値札や最初の提示価格の6割引き、7割引で買うことが大事だと言われた。NHKの中国語の番組でも同じようなことを言っていた。

 だから中国で何かを買うときにはいつも注意をして値段の交渉をした。あるとき、西安の碑林に行ったら王義之の拓本があった。買おうかと迷っていたら、丁度そこに知り合いの中国人ガイドが中国人を案内して入って来た。それで、彼女に相談をした。すると、「値段の交渉をして出来るだけ負けさせなければ駄目。それと気をつけて欲しいのは、値札が中国人向けと日本人向けの二つあって、日本人が来ると値札をうらがえすのよ。」と言って教えてくれた。

 だいたい中国人向けは日本人向けの50%ぐらい安くしてあるということであった。そのときは、彼女に頼んで拓本を買ってもらった。それで安く買うことが出来た。

 しかし、その中国で失敗したことがある。西安の近くにある有名な兵馬俑博物館に妻と行ったときのことだ。見終わって外に出て来てそこにある店を見て回った。ある店で中国のシルクのパジャマを買うことになった。例によって交渉をしていて自分の買ってもよいと思う値段を言った。ところがうっかり計算間違いをして高い値段を言ってしまった。相手の女性店員はすぐに「算了!」と言ってOKをした。金を払って品物を貰ったとき、周りの店員たちがみな笑っていた。どうして笑っているのかといぶかしく思ったとき、ハッと気がついた。値段を高く買っていたのであった。金を払った後なのでどうにもならなかった。

 中国で買い物をするのは大変だ。とにかく値段の交渉が必要である。それに中国人は買い物をするとき、必ず値段の交渉をするようだ。その点は大阪風である。

 あるとき中国から来た知り合いの女性を大須の電気店に案内した。たしかビデオカメラを買いたいと言っていた。そのとき彼女は中国語のわかる店員と徹底的に値段の交渉をした。交渉は1時間にも及び、やっと成立した。何と値段の25%も負けさせていた。感心したのは、その粘り強さである。

 値段を交渉で決めるというのは、中国だけではないようだ。ベトナム、タイ、カンボジア、エジプトなどみな同じであった。その点名古屋の人間は値段交渉が苦手である。

 

  

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