素敵な詩集に出会う―柴田トヨさんの「くじけないで」―
先日、Hさんから、柴田トヨさんの白寿処女詩集を買ったが読みたければ貸してくれるというmailが来た。NHKで紹介されたのを見て買ったそうだ。私も、チラッと見たので是非読んでみたいと思った。
この詩集は、飛鳥新社から出版されたものだ。ページ数は109ページで文庫本の2倍の大きさの本である。タイトルは「くじけないで」。
どの詩も見開きのページに収まっていて全部で42編ある。本屋で立ち読みすれば、15分で読めてしまいそうな本だ。
開いて読み始めたらすぐに惹き付けられた。すてきな言葉がさりげなく素直に並んでいる。その秘密はP.26の「私Ⅰ」でわかる。
本の帯には、「涙があふれて止まらない・・・・。」「詩集としては異例の大ヒット」と書いてある。
著者の柴田トヨさんは、明治44年(1911年)生まれで、99歳(白寿)になられる。この歳で本を初めて出版というのも大変珍しいと思うのだが、驚いたのは詩作を始めたのが90歳を過ぎてからだということだ。
そんな歳でどうして詩を書くようになったのかに興味があったが、最後の簡単な略歴を読んでその理由がわかった。
「私が詩を書くきっかけは、倅のすすめでした。腰を痛め、趣味の日本舞踊が踊れなくなり、気落ちしていた私を慰めるためでした。」
たった一人の息子さんが中学生のころから文学に興味を持ち、同人誌などに投稿をし、入選もしていたそうだ。お嫁さんは同人誌の仲間だという。
柴田さんによると、詩を作るのは1週間に1つだという。なぜかというと、現在も一人で暮らしていて、土曜日に息子さんが見に来られるときに一緒に仕上げるのだそうだ。枕元にはペンと紙を置きひらめいたら書きとめるそうである。
この詩集のタイトルは、P。54にある次の詩からとられたようだ。
くじけないで
ねえ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ
私 辛いことが
あったけど
生きていてよかった
あなたもくじけずに
柴田さんは、裕福な家の一人娘として生まれながら、家が没落し、奉公に出るたり、結婚にも一度失敗するなどいろいろな苦労をされたという。
返事
風が 耳元で
「もうそろそろ
あの世に
行きましょう」
なんて 猫撫で声で
誘うのよ
だから 私
すぐに返事をしたの
「あと少し
こっちに居るわ
やり残した
事があるから」
風は
困った顔をして
すーっと帰って行った
柴田さんには、詩を作ること、世界で読んでもらうという夢があるのだ。
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自然体で生きらられようになったのは高齢になってからだと書いてあったと思います。私は何時になったら自然体で生きられるのかなあと思います。
投稿: らら | 2010年8月 9日 (月) 10時52分
柴田トヨさんは自然の流れに身をまかせて生きていますね。テレサテンの時の流れに身をまかせを思い出します。本当に勇気ずけられます詩ばかりでした。
投稿: kaori | 2010年8月 9日 (月) 08時52分