外国語指導助手(ALT)のおかしな問題
8月4日の朝日新聞3面に、「英語助手と離せぬ先生」という大見出しの記事があった。最初、担任の先生の英語力不足で英語助手と話ができないのかと思って記事を読んでいったら違っていて。内容は、英語助手と授業の進め方などを授業中に指導したり、打ち合わせをしたりしようとしても、法律違反で出来ないという問題であった。
外国語指導助手といっても実質は英語指導の助手ということになるが、その雇用形態には3通りあるという。
①自治体(教委)の直接雇用
②労働者派遣
③業者への業務委託
この中で一定の教委は、コストの抑制や人材の安定確保などのため③を選ぶのだ。ところが、③の業務委託の場合には、法律上、教員と打ち合わせをしたり、指導助手に指示をしたりすることができないのだそうだ。
そこで、授業中に児童がALTの英語の指導が分からなくて困っても担任は何もできないという事態が生じるというのだ。もし、担任が介入したら、偽装請負ということになるのだそうだ。
業務委託を選ぶ自治体は、愛知県で57.1%、東京都は実に78.7%、福岡県が58.5%など11都県で半数を超しているという。
文部科学省は、小学校からの英語教育を取り入れたが、実際の指導は業者とALTに丸投げを認めているのはどう見てもおかしい。「ALTが独立して授業をすることで、生きた英語に多く触れられる」というのは、屁理屈である。学校教育は、塾とは違うのだ。
それに業者委託によって、教員免許がなくても、英語圏出身だというだけで指導助手になるケースが多くなる。直接雇用によって正式に英語の免許をもった指導助手を雇うべきである。
私は、40歳を過ぎてから英語会話の勉強を始めて、TOEICでも海外勤務が出来るレベルのスコアをとったが、在職中には一度もそれを役立てる機会がなかった。小学校に英語教育が取り入れられるように変わったのは最近のことだからだ。
でも、仮に私が担任であるとしても、ALTが業務委託であればどうしようもないのだ。こういう事態は早急に改めるべきである。
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