教員の中途退職者が年に12000人以上も―朝日新聞―
7月20日の朝日新聞によると、同新聞社が調査したところでは、公立学校、小、中、高の教員の中途退職者が全国で毎年12000人を超え、この5年間で6万7000人にもなるという。
奇妙なことにこうした数字は文部科学省も把握していないのだという。また、愛知、徳島両県と浜松市は05年と06年はデータが残っていないとして回答がなかったそうだ。
文部科学省と言い、愛知県と言い、教育委員会が如何に怠慢であるかがよく分かる。モンスターペアレントや子供が騒いだり落ち着かないなど学級崩壊で騒がれてかれこれ10数年になると思う。その間、心の病を患う教員が増加した。それと共に教員の退職者も増加しているものと思われる。
中途退職者は、
05年度 12542人、 06年度 13865人、 07年度 14484人、 08年度 13445人、 09年度12732人。
これだけの中途退職者がいながら調査もしない、統計記録も残さないというのは何とも解せないことだ。
教員の仕事は多様で個人がやらなければならないことが多いので、どうしても仕事を抱え込むことになる。「勤務時間以外でする仕事が多いという回答が9割をもあり、一般企業の2倍だそうだ。「気持ちが落ち込んで憂鬱」という教員は27.5%で一般企業の3倍に上るという。教員の仕事は精神面の負担が大きいことが窺える。
また、在職中に亡くなった教員数も増えている。
05年度 612人、 06年度 594人、 07年度 642人、 08年度 602にん、 09年度 650人 計3100人がこの5年間で亡くなった。
教員の仕事は、ただ教科を指導するだけでなく、さまざまな事務処理、さらには部活などの課外指導まである。小学校の教員になると、全教科を指導し、給食指導、日常生活や清掃などの生活指導、給食費などの集金、保健指導など多岐にわたる。
テストの採点をしたり、作文なのの宿題を見たり、成績の帳簿を作ったりということを自宅に持ち込んでやることが多いし、授業の準備や研究活動は、帰宅後や休日にやるということもしょっちゅうである。
先にも書いたが、この10数年ぐらい前から教員に対する風当たりが強くなり、モンスターペアレントの出現や学級崩壊が日常茶飯になったと聞く。夜遅くまで学校に残って仕事をしなければならないという状況も生まれているようだ。
教員の仕事は、特例法によって、残業手当がないはずだ。そのかわり残業という制度もない。(今は変わったのかもしれないが)以前は勤務時間が終わると自宅に帰ることができたし、裁判官と同じように自宅に持ち込んで仕事をしたものだった。
それでも自分の裁量でしごとをするので精神的には楽な部分があった。今はどうやらがんじがらめになっているみたいだ。
中途退職者数、在職死亡者数だけでなく、これに休職者数や精神疾患者数が加わるとさらによいと思う。 総合的に教員がおかれている状況を判断する材料となる。
教員は、戦争前は「聖職」と言われた。月給は安くても尊敬の眼で見てもらえた。戦後もしばらくはそういう感じが残っていた。田舎の方に行くと、文化活動の中心のようなところもあった。父母や有力者が何かあると学校を支えようとしてくれたものであった。
だから月給は安くても教員はやりがいのある仕事であった。何といっても生身の人間を教育するのだから。
経済の高度成長と共にいつのまにか学校を取り巻く環境が大きく変わってしまった。それとともに父母や人びとの教員を見る目も変わって行った。そしてこの10数年でさらに大きく変わったようだ。そうした状況の中で、せっかく教育という仕事に夢と情熱を託して教員になっても挫折をする人が増えていったのだ。もったいないことである。残念でならない。何とかできないものかと思う。
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評価、免許更新制、主任教諭制など管理体制が強化されて教員は息苦しさを感じていると今日の朝日
新聞に出ていました。
投稿: らら | 2010年7月21日 (水) 15時26分
私は高校時代は携帯電話もパソコンも無い時代でしたので、答案用紙も印刷されたもの・コピーしたもので回答されたものですが、現代はコンビ二でお金さえ出せばコピーできパソコンで印刷も出来るし携帯はいつでも人と話せる時代になり休める時がないような時代ですね。
投稿: 長谷部文子 | 2010年7月21日 (水) 10時57分