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2010年4月18日 (日)

キレル老人

 土曜日に地下鉄に乗ったときのことである。若い女性と老人の間が一人分空いていたので、すみませんと言って会釈をしてそこに座った。右側の若い女性は自分の服をちょっと引いて私の尻に挟まれないようにした。ところが、左側の老人はいきなり力いっぱい自分の服のすそをひいた。私が座ったときに服を尻で踏んだのを怒ったのであった。

 私は、「座るときにすみませんと挨拶をしたでしょう?かっかとしない方がいいんじゃありませんか。」と言った。けれどもその老人は黙っていた。

 丁度前の席が空いたので私はその席に移動した。そしてその老人を観察した。黒いピカピカの靴を履いて背広を着て身なりはよかった。顔はやや神経質な痩せ型であった。まあ、普通の紳士にみえた。年頃は75歳前後という感じであった。

 観察したところでは、そういう人生経験も豊かな高齢者がカッと怒るのは考えられないことであった。

 一方の女性はおとなしく自分から服を引いてくれたのに、その老人は紳士のようにみえていきなりキレた行動をとったのであった。

 香山リカさんの「キレル大人はなぜ増えた」という本に、いろいろなキレル事例が出ているが、その中に「暴走老人」というのがあった。老人にキレル人が増えているということである。人生経験豊かな老人が何故キレルのか。昔は老人といえば豊富な人生経験を積み重ねて物事をわきまえて穏やかで至極物分りのよい人ばかりであった。それが昨今はキレル人が増えたというのだ。

 今日、目にした老人も正にその一人であると思った。服の裾を踏まれるのは本人にも責任がある。踏まれるような座り方をしないことが大事である。自分が一方的に勝手な座り方をしておいて、踏まれたからと言ってそれを他人の責任として咎めるのは如何なものかと思う。せめて穏やかに「服をふんでいますよ。」ぐらいの対応ができなかったものかと思う。それが紳士というものであろう。

 私は、地下鉄の乗るときには、できるだけ席を詰めるようにしているし、人に服が踏まれることがないように気をつけている。また、座席に割り込むときには、挨拶をして座るようにしている。

 それが最近は高齢者でも座席を広く取ってのさばっている人が多くなった。情けないことである。そこへいくと昔の老人は謙虚であったと思う。というより身勝手な行動を恥とする気風があった。この頃の老人には自己中心の情けない老人が多いことを残念に思う。

 

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コメント

そうですね。自分をコントロールできない、他の人への影響を想像できないのかも知れません。何をして70数年も生きてきたのかとおもいます。

とても気の毒な人だとおもいます。過去の栄光でなく、肩書きの無くなった気楽な人生を楽しもうと思えば周りと譲り合い、気持ちいい生活を送れるのですが、地域でもそんな方はおられ嫌がられています。

香山リカさんの本によると、キレやすいのは子どもから老人まで全世代のようです。その原因については自説を書いてあるだけで仮説の域を出ていないようです。

私も似たような事をJRの駅で目撃しました。
夕方のラッシュ時に七十過ぎと思われる老人が階段を上っていました。その時、後ろの若い会社員の体が老人の体に少しふれてしましました。
そうしたらその老人がいきなり大声で「なんで押すんや!」と、どなりました。その若い会社員はすぐ謝ったのですが、「バカヤロー」とまたどなりました。階段は混んでいて故意でないことは明らかですし大声を出すほど押されたわけではないように見えました。
年をとった人は、礼儀正しく道徳的とよく言われていたのですが、このような人を見ることは悲しいことです。

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