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2010年4月28日 (水)

「バカはなおせる」という本

 著者の久保田競氏は脳科学者で、米国の脳神経学会誌に100件以上の研究論文を発表しているといわれる。その中には世界で初めての論文もあり、2点については「バカはなおせる」の中でも触れられている。

 久保田氏がこの本を書いたのは、脳に関する本が次々に出されているがその中にはいい加減なものもあり、読者に注意を促すという意味もあるようだ。第七部にそのことが書かれていることは昨日書いた。

 P,222には次のように書いてある。「世の中には本書以外にも『脳を鍛える』書籍やドリルの類が多数出回っていますので、どれを信じたらいいのか、少し戸惑いを覚えている方もおられるかも知れません。しかし、ここではっきり申しておきましょう。今、世の中に出回っている”脳の書籍”の圧倒的多数を、あなたは信用してはいけません。脳の働きを研究する専門学者たちは、みな、脳に関する不正確な話や誤解が”常識”のように世間に広まり過ぎている状況を嘆いています。」

 そして、マスコミが面白おかしく取り上げたものがベストセラーになっていて専門家のまともな意見は取り上げられないと指摘する。

 「実は、”ヒト”の脳、”機能”については、”非専門”である学者たちが、科学雑誌に出た論文や新聞記事などを読んで誤解、曲解をし、それをもとに妄想を展開してしまっている書籍が大部分です」と手厳しい。(P.223)

 ここまではっきりと言われると、これまで私が読んださまざまな脳に関する本は”妄想”を読まされていたのかと言いたくなる。具体的に名前を挙げて指摘されているのは、「ゲーム脳の恐怖」の森昭雄氏、弟子の川島隆太氏がいう「計算や音読が認知症の予防効果」、「バカの壁」(養老孟司)などである。

 養老氏は、NHKによく出演して有名であるが、彼は解剖学者である。解剖学者が何故脳のスペシャリストとしてもてはやされたのか疑問に思っていた。久保田氏によると脳に関する研究や実験は全くしていないという。

 我々ど素人の読者は、売れている本とか有名人が書いたものを信じて読むしかないし、選別する能力は全くないのだから困ってしまう。誰か脳の専門家が「この本はいい」「この本は読むな」などとレッテルを張ってくれればいいのだが、久保田氏によると本当の専門家は本さえ書く暇はないのだという。

 そこで久保田氏が勧めるのは、

Pub Med(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/)

で、調べることだという。このサイトには英語で書かれた世界中のまともな論文が集められて公開されているのだそうだ。

 ローマ字で名前を入れて調べ、少なくとも5年間脳の分野で研究をしていてたくさんの論文が登録されている学者なら信用してもよいという。

 ちなみに先に出た森昭雄氏は2つしかみつからないそうだ。

  試しに茂木健一郎氏と久保田競氏も入れてみたが何も出てこなかったのは、調べ方が間違っていたのか?

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