中国の高齢者問題―親孝行契約―
27日のNHKクローズアップ現代は、万博が開かれる上海からで、中国の高齢者問題を取り上げていた。
私の知り合いの張さんが住む近所にある魯迅公園で老人たちが太極拳をしている風景が映し出されたが、さすがに人数が多い。上海では高齢者が増え、10年後には1/3が高齢者になると予測されているそうだ。上海では高層のアパートが林立しているが、その1/3が高齢者が住むようになるということか。
上海でも核家族化が進み、子供は外に行って別のアパートで暮らしているので独居老人も増え、自殺やうつなどが増えているという。30年前の改革開放以前は、仕事も年金も医療も国家で保障されていたが、改革開放によって経済が目覚しく発展する中で、所得格差が広がった。その差はアメリカや日本よりもひどいそうだ。
解放前は、狭い家でも家族みんなで暮らして親の面倒もみていたが、現在は親子がばらばらに住んでいるので、親の面倒をみられないという問題が起きてきた。最近、死後2年間もたった白骨が見つかって大問題になったという。高齢の女性がみる人もないまま淋しく死んだのだ。
そこで上海市政府は独居老人の場合、子供と「親孝行契約」を結ばせることにした。毎日電話をすること、1週間に1回は親を尋ねて身の回りの世話をすることなどである。
ところがそれでも事は解決しない事例が出てきた。子供が忙しくて契約を守れないというのだ。そこで市政府は近所の人と「世話の契約」を結ばせることになった。毎日声をかけるようにというのだ。
日本では高度成長のときに核家族化が進み、親は子供と別々に暮らすことが多くなった。その後高齢化が進み、独居老人の数もますます増えている。介護施設に待機中の高齢者が37万人もいるといわれる。日本では親孝行契約という発想はないが、高齢者問題は喫緊の課題である。
中国の場合、経済成長のスピードが日本より速くそれだけについていけない高齢者も多いということだ。
前にも書いたことがあるが、私の友人は、「親の面倒を見る最後の世代、子供にみてもらえない最初の世代」という名言を、今から15年ぐらい前に吐いたが、日本も中国も同じ節目に来ているといえよう。
娘の結婚式で親が挨拶をして「たった一つのお願いは親の面倒をみてほしいこと」と言っているところが映されたが、その願いは叶わないだろうと思った。
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