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2010年4月 2日 (金)

未公開株を売る巧妙な手口

 3月31日の朝日新聞朝刊に、「未公開株トラブル急増」という記事が出ていた。消費生活センターなどへの相談件数も急増して2009年度は5400件近くなったという。前年度比2倍だそうだ。

 未公開株だけでなく、投資ファンドに関する相談も年間800件ほど寄せられたと言う。

 金融庁は運用実態がない業者などを行政処分するが、監督権限がない無登録の業者も多く、効果は限定的だそうだ。登録業者だけで1200あり、無登録業者の数は金融庁にも「見当がつかない」有様だという。

 以前にも書いたが、私のところには、毎日2件は勧誘の電話がかかってくる。未公開株もあれば、新しい会社への投資や、果てはお困りの手持ち株を買い取りますというのも多い。1日2件として、1年に約700件、4年ぐらい続いているから、2800件。つまり、かなりの数のインチキ詐欺会社が存在すると推定される。彼らは、手かえ品かえ、獲物(特に高齢者)を狙っているのだ。

 新聞によると、この「株を買い取ります」というのは、売る方と同じ会社や組んでやっていることがあり、幾らで買い取ると電話して、別の会社から同じ株を幾らで売るという電話をかけて、すぐ売れば差額が儲かるような錯覚を与えるのだそうだ。しかし、実際には買ったら最後相手は逃げてしまうのだという。

 未公開株を売ろうとする会社は、たいへん巧妙である。新聞にも出た「ワールドインベストメント」という会社の場合、まず、電話の応対が非常にソフトで紳士的であった。柔らかい誠実そうな話しぶりで説明をした。送られてきたパンフレットは、厚手のきれいな紙に写真入で印刷してあり、如何にも信用がおけそうな感じであった。主幹会計事務所も有名なところで、取引銀行も東京三菱銀行などであった。

 フリーの電話番号があり、いつでも応対してくれた。名古屋に支店があるというので、確認のため見に行ったら、確かに証券取引所の近くのビルにあり、20名ほどの社員がいた。応対に出た年配の女性はあたりが柔らかく、やり手という感じであった。

 ただ、その支店というのが、別の名前の同じ傘下の会社と同居しており、応対に出た女性幹部はそちらの方の社員であった。だから支店というより代行をしていたのかも知れない。

 その女性幹部は、アース製薬を私に勧めた。確かにアースは近々株を公開するようであった。100株60万円で公開されれば120万円にはなると言った。家に帰ってインターネットで調べたら、160万円(100株)で売ると言う会社もあった。

 アース製薬に電話をしたら、そんなものを買ってはいけないと言った。野村證券も同じ事を言った。くだんの会社からは何度か電話があり、松坂屋の近くの中央信託銀行で名義変更ができると言った。

 公開が近づいていたので様子を見ることにした。初値は100株で37万円だったと思う。もし、60万円で買っていたら・・・・?

 私は上場後アース製薬を100株32万円で買ったが、その後下がり続けて一時は1株2170円まで下がり現在は2800円前後である。だから正規に買っても大きな含み損を抱えている。ただ、買ってから毎年7500円ほどの配当があるから、3万円ほどは含み損が減った勘定であるが。

 ワールドインベストメントと名古屋の会社は共に愛知県警に告発されて裁判になり、首謀者は懲役刑(但し、何故か執行猶予つき)になった。

 この例のように、未公開株を勧める会社や株買取を勧める会社、投資を勧める会社、外国為替、先物などを勧める会社は、大変巧妙に仕掛けて、信用させて騙すのだ。中にはテレビで広告を出していた入りや萬成証券のように、証券会社でもいい加減な先物売買で客に損害を与えるところがあるから、この世界は要注意である。

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