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2010年3月27日 (土)

日本一の杜氏・農口尚彦作の酒を飲んだ

 先日のNHKプロフェッショナルで日本一の杜氏、農口尚彦さんが取り上げられた。彼は、現在76歳で石川県の鹿野酒造の杜氏をしている。これまでに「現代の名工」に選ばれ、「黄綬褒章」を受章している。また、品評会の金賞を25回も獲得しているという。

 番組では、彼の酒造りへの姿勢、情熱を伝えていた。酒は雑菌が入り難い冬季に仕込まれるが、その期間酒蔵に泊まり込みをする。そして夜中にも何度も起きて発酵の状態などをチェックする。一年の半分は家族と離れて過ごすので、家族はたいへんである。

 農口さんは、裸で仕事をしているが、酒室の中は40度にもなるので暑いからだ。その体はがっしりとして丸みを帯びて黒く光っている。50キロ以上のものを持つことがあり、撹拌も大変な力仕事だからだ。酒造りには体力がいるのだ。

 よい酒を造りたい、酒造りにはこれでよいという限度がないと彼は語る。麹を酒米にふりまいて発酵が始まると微妙に温度を調整する。米を手にすくって口で味を見て状況を判断するので歯がなくなり入れ歯なのだそうだ。

 番組の後半は、本年の酒の仕込みであった。最高の酒を目指していろいろと工夫をして納得がいく酒を仕上げる。心の中では密かに引退を決めていたという。

 定年で杜氏を辞めた後、請われて今の会社に入り、76歳まで勤めてきたのだ。辞めたら買った新車で奥さんと日本中の温泉を回ってみたいのだそうだ。

 私は、農口さんの造った酒を飲んでみたいと思った。HPで調べたがわかりにくい部分があり、どこか酒屋で探そうと思った。

 昨日、酒スーパーに行って探してみたら、1本だけ「常きげん、山廃仕込み純米酒」が残っていた。それを買い求めた。一升瓶で2850円であった。現代の名工・農口尚彦作というラベルが貼ってあった。

 店員に農口さんの造った常きげんのことを聞いたら、何も知らないと言った。NHKの番組で取り上げられたので有名になったと思っていたら、酒店も知らないとは意外であった。

 家に帰ると、早速封を切ってガラスのとっくりに入れた。色は濃い山吹色をしていた。匂いをかぐと酒のよい香りが鼻をくすぐった。口に少し入れて味わってみたら、ほわっとよい味が広がった。

 昔は酒は山吹色をしていたという記憶があるが、いつのころからか色がない酒が多くなった。味も匂いもアルコールの強いものが多い。同じ純米酒でもうま味のないものが多い。

 しかし、この酒は違った。まず色が見事であった。やはり、目、鼻、舌で味わえる酒であることが大事だと改めて知った。ただ、残念なことに私のような年金生活者にはそういう良い酒は買えない。今回はどうしても飲んでみたいと思って清水の舞台から飛び降りたのであった。

常きげん 山廃仕込純米酒

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コメント

農口さんの酒は、日本酒という感じが味わえます。お試しになることをお勧めします。吟醸酒は高くて手が出ませんが、紹介した山廃仕込み純米酒は私にも買えました。

投稿: らら | 2010年3月30日 (火) 14時30分

昨日、アドレスを送りましたが着きましたか。農口さんのお酒のこと、主人と読みました。テレビを見て飲んでみたいと言っていましたので、参考になりました。主人は眼が不自由になったので、鈴木さんの詳しい描写がとても参考になると喜んでいます。

投稿: 村瀬さち子 | 2010年3月30日 (火) 07時55分

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