ひろさちやは、次々に本を出すけれど
ひろさちやは、次々に本を出版する。これまで何冊書いたのか正確にはわからないが、500数十冊だと思われる。なぜかと言うと、彼が500冊以上と言ってから数年になるからだ。今年の1月からでも毎月2冊のペースで出版している。
そんなことはどうでもいいことだ。書く意欲があって出してくれる出版社があるから出せるのだろう。
問題は、彼が書く本の中身である。
ここに、私の友人が送ってくれた最近の本の構成がある。友人は2年余り前からひろさちやの本を片っ端から読んでいるらしく、読んで大事だと思ったところをプリントアウトして送ってくる。
さて、最新の本とは、2010年3月8日にPHP研究所から発行された「捨てちゃえ、捨てちゃえ」である。
第一章 「こだわりを捨てる」
第二章 「世間を捨てる」
第三章 「欲望を捨てる」
第四章 「自分を捨てる」
となっている。これを一瞥しただけで、彼のこれまで書いた本に書いてあることを、「捨てる」というカテゴリーでくくって焼きなおしただけだということがわかる。
第三章には、「欲望」を捨てることこそが仏教の第一原理であるといい、「欲望」とは何でしょうと問いかける。そして欲望には際限が無いと説く。欲望とは、仏教の用語で「渇き」だという。充足することがないのだという。
また、精神的な「希望」も欲望のひとつだという。全ての欲望は悪いのだと仏教では教えると説明する。
しかし、それは「無欲」になれということではないという。「無欲」にはなれないのだという。だから仏教の言葉で言うところの「少欲知足」が大事だという。
「欲望」を少なくして、感謝する心、足るを知る心を持つようにという。
今ある自分、今置かれた状況に逆らわずに生きることだと説く。
ところで、上に見てきた「少欲知足」が大事だというテーマはこれまでの彼の著作に何回も出ていることであって決して目新しいことではない。
彼は、同じ事をちょっと味付けを変えて出しているだけである。彼は、釈迦と大乗仏教の阿弥陀信仰をもとにしているのだが、そこで説かれていることはそんな大部なことではない。僅かなことなのだ。
それにしてもよくも次々と本を書くものだと思うし、出版社もよくも同じような本を出すのを認めるものだと思う。
菓子で言えば、ピリ辛、ピリピリ、辛うま、カラパリ、パリ辛・・・・などとちょっと味と名前を変えて売るようなものである。これならどれだけでも作ることができる。
彼の著作は、そんなものだと認識すべきである。
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本当にそうですよね。500数十冊もの著作を出す意図がわかりません。同じ材料で。
投稿: らら | 2010年3月30日 (火) 14時08分
総てを捨てろと言う人が何故、内容の同じような自分の本を貯め込むのでしょうか、言行不一致では無いでしょうか。
所詮悟ったようで自分の事は見えないのでしょう。
投稿: maron | 2010年3月29日 (月) 01時24分