嬉しい題名の本を見つけた
図書館で、「日本人ほど個性と創造力の豊かな国民はいない」という題名の本を見つけて借りてきた。著者は、呉善花氏という韓国人でPHP研究所の発行である。
外国人、特に韓国人が日本人を肯定的に捉えた応援の本を書くのは珍しいと思って借りたのだ。以前に江戸時代や明治の初めに日本に来た外国人の見た日本について本で読んで書いたことがあるが、著者もそれらの本をよく読んでいる。そして、日本に来た外国人が、日本人のよい点について眼を留めて肯定的に見ていると指摘している。呉氏自身も欠点を見るのではなく、よい点を見ることが大事だと述べている。
前書きで次のように書いている。「私が注目してやまないのは、『私の国(および私の見聞きした諸外国)ではあり得ないことだ』という大きな異文化ショックとともに感受される、『心から敬意を感じずにいられなくなる文化の異質性』である。当時の西洋人が当時の日本に感じたのも、全く同じ性格の異質性だと思う。」
「異文化理解については、『異質性を強調するのはよくない。それよりも共通性を見出して相互理解の道を開いていくのがよい。』ということがよく言われる。しかしながら、いかに異質的かという大きな驚き、殆ど理解し難いと思える強烈な実感、それらの心的な衝撃なしには、異文化理解への道が本格的に開かれることはない。とくに、深い敬意をもたらす異質感覚を徹底的に思い知っていく体験が、異文化理解の出発点には不可欠のものと私は思う。」(P.7)
著者は、1983年に来日して以来日本に住んでいるし、おそらく日本語で書いたのだと思われる日本語の水準から見ても、日本についての理解は非常に深いし、多くの文献を渉猟しているようだから、著者のいう視点には納得ができる。
私は、外国に住んだ経験がないし、外国旅行といっても観光旅行である。だから訪れた国の文化や生活などについては表面の印象にとどまる。大変残念なことだが致し方がない。後は書物を通じて知るぐらいしか方法がない。
近年日本に来る外国人が増えているし、外国に行く日本人も増加している。お互いの文化が触れ合う機会が増えている。そんな中で著者の上記の視点は大事であると思う。
いったい著者は日本をどう見ているのか、大変楽しみである。
« ひろさちやは、次々に本を出すけれど | トップページ | 遅過ぎた毒入り餃子事件の容疑者拘束 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 今年80周年の岩波新書(2018.06.26)
- ブームの「君たちはどう生きるか」を読んでみた(2018.05.10)
- 面白くなかった朝日新聞連載「クラウド・ガール」(2017.01.06)
- 面白かった「暗幕のゲルニカ」(2016.06.04)
- 新聞の書籍広告から(2015.01.12)
コメント