「進化しすぎた脳」から―脳の地図は変わる―
電車の中で「進化しすぎた脳」(池谷裕二著、ブルーバックス)を読んでいたら、興味深い話があった。P.80の「脳の地図はダイナミックに進化する」という項に次のようなことが書いてあった。
「生まれつき指が2本つながったままの人がたまにいるが、そういう人の脳を調べると5本目に対応する場所がない。それは、生まれてから指が5本の人には5本に対応する脳地図ができ、4本しかなかったら、4本に対応する神経しか形成されないのだ。
脳の地図は、かなりの部分で後天的なものだ。脳の地図は脳が決めているのではなくて、体が決めているのだ。
くっついた指を手術で切り離して、5本にすると、5本の指が使えるようになる。そして調べてみると、わずか1週間で5本目の指に対応する場所ができている。
脳というのは、1回地図ができあがったら、それで固定されてしまうのではなく、入ってくる情報に応じて臨機応変にダイナミックに進化しうるのだ。
例えば、交通事故で手を失ってしまった人の場合、失われた手に対応していた脳の部分はどんどん退化して行く。」
体に対応して脳の中が変化するということだから、私たちが体を使うことによってそれに対応した脳の部分がどんどん広がっていくのだろう。運動選手などはそれぞれのスポーツによって使う身体の部分が異なるが、それぞれ脳の地図も違っていることになる。私のように、ウオーキングしかしない人間は、その他の運動能力は退化する一方である。
野球のマスターズで、往年の名選手が出てくるが、張本氏のような打撃の神様でも今では形無しである。単に歳をとったからだけではなく、打撃の練習をしていないからであろうと思う。
ピアニストは腕と指が、バイオリニストは腕と弦を押さえる指が対応する脳が発達しているに違いない。
その他、運動の感性とか音楽の感性といったものも、練習や実践の中で鍛えられそれに対応した脳の地図が出来上がって行くのだと想像する。
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