ベトナムとアンコールワット旅行―⑩―
D.貧しい家々
昼食は、カンボジア風中華料理。アンコールワットビール4$。
食事の後、オプションのトレンサップ湖クルーズ(3500円)に行く人とその他の人に分かれた。クル-ズには11名が参加。ホテルに帰って休む人、石神夫妻のようにTUKTUKを雇ってオールドマーケットに行く人がいた。ちなみに、TUKTUKは貸切りでたった5$だったそうである。
トレンサップ湖へ行く途中、交差点にシアヌーク前国王の別荘があった。クリーム色の壁、茶色の屋根のちょっとした建物であったが、道端に建っていたのには驚いた。殿下の大きな写真が掲げられていた。そこから間もなくオールドマーケットだが実はスケジュールの変更でマーケット見学とクルーズの日が入れ替わったのだ。
赤土のでこぼこ道をバスは進んだ。マッサージ道路だとウェイさんが言った。小島さんが来なくてよかった。進むに連れて両側には高床式の粗末な家々が並んでいた。さとう椰子の葉っぱを編んで作った壁と屋根、柱はどこかで切り取ってきた自然の細い木でできている。一番小さい家は、2畳一間ぐらいの大きさで当然床の高さも低く50CMぐらい。大きくなるに連れて床も高くなる。大抵は8畳間ぐらいの大きさで小さな部屋が付属したものもあった。貧しいところは、床は割り竹を並べてあり、すけすけである。その上のクラスの家には床に板が張ってある。敷物を敷いてあるのはもう少し上だ。家具らしいものは鍋や食事の器具ぐらいである。岩田さんは、「貧しくても心は豊かかもしれんよ。」と言った。そんな中に立派な木造の高床式の家があるが収入がよいのであろう。
E.クルーズ!?
入り江になった川に着くとクルーズの船に乗り換えた。船と言っても、座席はおんぼろで壊れかかっているし、エンジンはヤマハの中古で物凄い音を立てる。一応屋根はついていてカンボジア風屋形船だ。水洗トイレらしきものも備わってるが、ロータンクの蓋は取れていた。泥水の川を進む。マングローブの林の前に、両側には水上生活者の船の家が並ぶ。大きいのから小さいのまで様々である。家は開けっ放しなので中の様子がよく見えた。ハンモックで昼寝をしている人や大勢集まって遊んでいるところもあった。水上生活者は高床式よりも生活程度が高いように見受けられた。 ウェイさんの説明では、水上生活者は3万人ほどいて、50%はベトナム人だという。電気はなく、発電機で電気を起こすかバッテリーで電気を得ている。テレビのある家も多い。水は陸から買ってきて料理などに使う。洗濯は川の水でする。水深は6mぐらいで、乾季になると湖の水が三分のぐらいに減り陸地に変わるので直播で米を作るのだそうだ。普段は漁業で生活をしている。一番水が引くのは4月で、湖のはるか沖合いに目印の塔が立っており、そこまで水が引くのだと言う。移動には10日ぐらいかかるそうだ。川には物売りの舟も見かけた。また、店の船もあったし、学校やレストランやキリスト教会の舟もあった。学校は体育館を持っていたが、これは日本のODAで作られたものである。湖は琵琶湖の6倍もあるとかで、はるかプノンペンから高速のボートが客を乗せて飛ぶように進んできた。最先端の船と化石の船が同居している。
帰りに船上の売店に立ち寄ってトイレを借りた。水洗トイレだが水は出ず、用便は川に直接流す。驚いたことにそのトイレの真下で若者が泳いで仕事をしていた。船に戻ったら小船で子供が4人来て手を出して「1$」「1$」とせがんだ。長谷川さんにもらった飴を持っていたのでそれを上げた。カンボジアでもベトナムでもバスがとまると必ず子供や物売りが集まってくる。子供は殆どの場合、縦笛を2本で1$で買ってくれと言う。他に竹のおもちゃも売ろうとする。同行の岩田さんは気が優しいい人らしく、「可哀想なのでつい買ってしまう。」と言いながら、笛や玩具や腕輪などを買っていた。
このクルーズは水上生活者を見に行くだけで食事も土産も無く3500円は如何にも高かった。長谷川さんは「こんなの500円でいい。」と言っていた。11名乗せて船の取り分はいくらか知らないが生活レベルからすると仮に半分としても約二万円になるから、大変よい収入になる。それにしてもあと半分をガイドと旅行社で分けるのか?
クルーズもどきから帰ると一旦ホテルに戻って休憩をした。部屋を開けようとしたがキーが働かない。いくらやっても駄目だった。隣の部屋の暁さんがフロントへ電話したらと言ったので電話しようとしたがつながらない。そこへ従業員が通りかかったのでマスターキーであけてもらった。その後は何事も無かったようにキーが使えた。
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