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2009年11月28日 (土)

プロフェショナル「作業療法士 藤原茂」を見て感動

 録画しておいた「プロフェショナル 作業療法士・藤原茂」を見た。11月18日にNHKで放送されたものである。

 藤原さんは、山口市にある「夢のみずうみ村」という通いの介護・リハビリ施設を経営している。送迎の自動車には大きな字で「夢」という漢字が書いてある。

 この施設に通う人は、1日100名ほどで、脳卒中などで後遺症を持つ人たちがリハビリに来るのだ。施設には、全国から見学者が引きもきらないという。NHKの前にもテレビ朝日で紹介されたようだ。見学者が多いのは、この施設の藤原さんのリハビリのやり方や考え方が大変ユニークで、しかも効果をあげているからである。快復率が日本一なのだそうだ。

 一番快復した人は、要介護5から2になった人だという。

 夢のみずうみ村では、藤原さんの言う「バリアアリー」の工夫が至るところに見られる。

 わざわざスロープをつけた廊下のあるところ、階段、廊下に置いてあるさまざまな高さの箪笥、頭がぶつかるように吊り下げた看板、高いところや低いところに貼った漢字熟語などのクイズ・・・・・。

 また、廊下や階段などには、「青春の・・・」とか「裏人生」とか面白い名前がつけてある。歩いた距離がわかるように10mごとに言葉が書いたものを下げてある。

 藤原さんは、バリアフリーは人を駄目にするという。バリアを設けることで自然と手や足や腰など体の部分を使うことになり、自然のうちに体を動かすリハビリになると言うのだ。

 昼の給食は自分でメニューを選び食べたいものを食べる。それを記入するのも利用者が自分でやる。できるだけ自分でやる、それも自分からやるように気持ちを変えていくのだ。

 面白いのは、施設内ではYUMEという独自の通貨を使うことだ。その通貨がないと施設内では何もできない仕組みである。

 通貨を増やす(減らすことも!)ために、施設には「カジノ」があり、そこでカードやルーレットなどの博打をして遊ぶのだ。利用者たちは嬉々として遊んでいる。

 旅行に行くときも、わざわざ困難なところを選んで歩くようにしている。

 舟で海に出ての魚釣りも楽しみながらのリハビリの一環である。

 施設には60mの広いプールもあり、水中歩行などのリハビリができる。

 藤原さんは言う。「障害があることで一番輝いていないといけない。」

 実際、現在施設で片手だけの料理教室の講師をしている臼田さんと言う人は、「脳卒中で障害を得て今は最高の人生です。」と話している。

 彼女は50歳の頃、脳卒中で左手が麻痺し、言語も不明瞭になり、車椅子も動かせなかった。それで人生に絶望し、死ぬことばかりを考えていたそうだ。それがこの施設でのリハビリと、好きな料理を右手だけでやること、それを人に教えるようになって生きがいを見つけた。そして今は表情も明るく、言語も元通りになり、歩けるようになった。

 藤原さんは、人の役に立つこと、自分が好きなことをやることがリハビリに大事だと言う。

 世の中には、素晴らしいプロフェショナルがいるものだと感心すると共に見ていて涙が出た。こういう作業療法や介護が広まっていくといいだろうと思った。

 茂木さんは、言わなかったが、脳には可塑性があり、補完性があり、ある部分が駄目になっても、体を使うことにより、脳が快復し、体を動かすようになるのだ。

 

 

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生き方」カテゴリの記事

コメント

 ボランティアをなさったことがあるのですね。介護は人手不足もあって、どうしてもほったらかしになるか、ヘルパーさんなどが手をかけて済ませてしまうことが多いようです。
 自己回復力を阻害していますね。バリアアリーが広がるとよいと思います。

先日コメントを書いたのですが、夜中にばかり書くものですから、操作のミスをしたのか送信できなかったようです。
わたしも6年間高齢者の会でボランティアしましたが、私の理論は藤原さんと同じで、手仕事で様々な楽しい実用具を創ったり、庭のくだものでジャムを作ったり、手が動かないと言っていた人もみんなで話しながら作業をしている中に手を動かしているのです。
介護施設では怪我でもさせてはいけないと何もさせないで、してあげるからだんだん退化するのだと思います。
3回も脳血栓で入院して元気で家事をこなし、医師から「多発性脳梗塞でどうして生活している?」と不思議がられると言っていますが、大切な事はその都度ノートに書いている事以外普通の人です。

介護保険制度も利用者も介護施設側もよかったといえるものに改める必要がありますね。現行では、金は年金から天引きでとられますが、介護が得られるかどうかは不明です。特別養護老人ホームの入居待ちが30数万人もいるそうです。

 儲けの方は、効果があがれば評価も報酬もあがるのに、リハビリの効果をあげれば、報酬が下がるというのは、全く逆立ちしていますね。
 せめて、要介護度が下がったら、ご苦労様と施設へ施設充実費が支払われればいいのに。
 

おっしゃるとおりです。こういうよい施設や職員が安心して働けるように国は考えるべきです。
 この施設のように利用者が快復し、要介護度がさがると施設の収入が減る仕組みになっているそうです。金儲けなら、程々にした方がよいわけで、おそらくそういう施設が多いのではないかと推察します。

 前にも同じような内容の紹介をして下さったことがありましたか。おばあさんが煙草を吸っている場面が目に残っているので、あるいはテレビで見たのかも知れません。
 好きな事をすることによってリハビリが進むという内容でした。そこは認知症の施設だったように思います。
 むかし、アメリカで重症の小児麻痺の子供をうつ伏せにして、毎日、手と足を這うように動かしているうちに、這う動作が出来るようになったという報告を見たこともあります。
 外から動作を与えても脳が回復していく証拠です。内から動作を誘うリハビリは、なおさら素晴らしい実践だと思いました。それを可能にするには多くの人手が必要です。
 鳩山政権下でも自衛隊が新型戦闘機35機購入の予算要求をしているそうです。
 私は、人殺しの準備のためにそんな多大な金があるなら、こういうすばらしい施設やそれを支える人達にもっと金を回してほしいと思います。
 リハビリ施設が儲けのために参入できないように、戦闘機を1機やめて、国がこのようなリハビリ施設をつくって、職員の数を今の2倍にし、給与も今の2倍にするだけでも、そこで働きたい人はたくさん出て来るのではないかと思います。
 仕分け作業で基礎科学の予算は効率が悪いからとカットすることに、ノーベル賞受賞者達が異議を申し立てたそうです。軍事、経済優先の社会ではなくて、生活を豊かにする教育、芸術、文化、スポーツなどを大事にする社会に変えていきたいものです。

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