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2009年11月 4日 (水)

「般若心経は間違い?」はいい本だ―①―

 たまたま栄地下街のトキワ書店で仏教関係のコーナーを見ていたら、「般若心経は間違い?」という文庫本(宝島社)を見つけた。著者はアルボムッレ・スマナサーラというスリランカ出身の僧で現在日本テーラワーダ仏教協会の長老として仏道と瞑想指導に従事している人だ。

 般若心経といえば日本人には最もよく知られたお経である。漢字たった262文字で書かれたいちばん短いお経だ。本願寺系と創価学会以外のどの宗派でも使われているという。

 いったい般若心経の解説書は何冊出版されているのか知らないが次々と出ているようである。私が学生の頃高神覚昇著の「般若心経講義」(角川文庫)が当時いちばんいいといわれていて私も買って読んだ。まだ持っているので引っ張り出して読もうと思ったが、活字が小さくて読む気がしなかった。

 ひろさちやも何冊かの般若心経の本を書いている。彼は同じネタで何冊もの本を平気で書くのだ。だから500冊以上の著書があると豪語している。(その辺がいただけない)

 その一つ「知識ゼロからの般若心経入門」には、「262文字が悩みを消す」と大見出しで書いてある。

 それによると、般若心経は、西遊記で有名な三蔵法師が書いたもので、インドへの往復の途上に唱え続けたのだとか。全600巻にもなる大般若経をたった262文字に圧縮したものらしい。

 もう少し引用しよう。最初の1行の「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時、照見五薀皆空度一切苦厄」さえ分かればよいのだという。観音様が「深い智慧の完成」をなされたときに、全てが「空」だとわかって、あらゆる問題を解決された。だからあなたも観音様のように、「空」がわかって苦しみや災難を克服しなさい。これこそが般若心経の教えの全てだというのである。

 般若心経とはつまるところ「空」を説いたものだというのだ。私も、それには異存がない。

 ひろさちやは大乗仏教を信奉する。大乗仏教が現れたのは、釈迦が入滅して500年も後の紀元前後である。それは初期の上座部(小乗)仏教を否定するところから始まったとひろさちやは言う。「空」は大乗仏教の根本原理である。

 小乗仏教では出家者しか救われない。一人乗りのバイクみたいなものだ。それに対して、大乗仏教はバスだという。誰でも救われると説くのだ。

 上座部仏教(小乗)では、悟りを開いた人を阿羅漢と呼ぶ。阿羅漢はひろさちやによると100点満点の人間だという。一方大乗仏教では、悟った人を「仏」と呼ぶ。誰でも「仏」を目指せると説く。一切衆生悉有仏性である。しかし、無限大の存在だから、誰も仏になれないが、仏を目指して歩もうというのだとひろさちやは解説する。

 彼は大乗仏教のなかでも阿弥陀如来を信仰する浄土真宗がよいと思っていると私は推察しているのだが、浄土真宗では先に述べたように般若心経は扱わない。その辺が理解に苦しむところである。

 大乗仏教の般若心経の中心である空」について、上座部(小乗)仏教の立場から批判したのが、「般若心経は間違い?」という本である。

 ちなみに、上座部仏教とは、タイ、ビルマ、スリランカ、ベトナム、インドなどに継承された南方系仏教である。

 ―以下、つづくー

 

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コメント

 インドに行ったことがおありなのですね。しかも、釈迦に関係した所に。いい旅行をなさいましたね。

 今は、インドはヒンズー教で仏教は少数です。沐浴はヒンズーだと思います。

20年ほど前に仏陀の旅に私の母が連れて行ってくれた。お釈迦様の生まれたルンビニ~ベナレスのガンジス川の沐浴を舟で見てきましたが、信仰の凄さをベナレスの町で見たときに一生に一度でいいからガンガーの沐浴を・・・と日本では見られない光景にいっぱい出会い信仰のことなどわからないままに帰ってきました。わかったのは日本の国の豊かさやインドに比べたら土地面積のちいさいことでした。そして寄ってくる子供たちの目がキラキラしていたことでした。

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