相変わらず続く、ホームレス襲撃
友人のFさんが付き合っているホームレスのことは、以前にも書いた。Fさんから来た手紙にまたホームレスの悲惨な出来事が書いてあった。以下に紹介する。
10月15日夜、長くお付き合いしているKさんというホームレスが来宅した。
「すみませんが、また助けて下さい。自転車を修理するお金がないんです。来月お返ししますから、5000円ほどお借りしたいんですが。実は、缶を300kg売りまして、13000円稼いだのですが、あんまり疲れて、それにお金も入ってやれやれしまして公園のベンチで爆睡したんですわ。その間に、不良中学生か誰かわかりませんけど、財布を持っていかれ、自転車まで壊されてしもうたんですわ。自転車がないと商売になりません。そこの自転車屋さんに運び込んで幾らぐらいかかるか尋ねたんですわ。すると、5000円ぐらいかかるいわはるんですわ。ほんまに何度か助けていただいてるんですが、またお願いできんでしょうか。」
と懇願されましたので、財布の中の有り金約15000円を全部差し上げました。
そのとき、彼に言ったことです。
「Kさん。明日私と一緒に区役所に行って、生活保護の申請をしましょう。前から何度かこの話をしました。もう潮時です。Kさんももう62歳になられましたから体の無理かききません。」
すると、彼は、
「もうちょっとやれる気がしますから生活保護申請を待って下さい。お願いしますす。」
と言いました。そして、深く私に礼をして歩いて立ち去りました。その後姿に向かって、
「そのお金は差し上げたんですから、お返しになる必要はありませんよ。差し上げますよ。」
と大きな声で言いました。
私は、 彼の話のなかには、社会的弱者が社会的弱者をいじめる構図があるとみています。資本主義社会の中ではじきだされた民の憐れさも物語っています。幸い私は金持ちではありませんが、多少のゆとりがあって身の丈にあった布施ができる立場にいます。出来る範囲で社会的弱者への多少なりともサービスが出来る人間でありたいと思っています。
友人のFさんのような行為を「功徳」というのだと思う。いかなる見返しも期待しない行為である。少しでも見返しを思ったらそれは功徳ではない。
ところで、社会の最底辺でかつかつに生活しているホームレスを襲って金品を巻き上げるだけでなく、持ち物まで破壊するような酷いことを平気でやれる人間がいることに驚きを禁じえない。一頃ホームレスを殺したり、襲ったりする事件がマスコミで報道されたが、相変わらず続いていることに背筋が寒くなる。やっている人間はホームレスを襲撃することは正しい行為だと理屈をつけているのであろう。その自分の心理や行為がどれほど卑劣で恥ずべきことかということに思い至らないことに恐ろしさを感じる。
脳の働きは後天的に環境によって作られる部分もあるというから、今の社会状況が影響しているのかも知れない。Fさんが指摘するように、襲う側も何らかの弱者の立場にいるのかもしれない。
山崎川のホームレスネコ
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