8月15日の思い出
8月15日は終戦記念日である。昭和20年のこの日に戦争が終わった。
その日は、天気のよい日で暑かった。父は何の用があったのかは知らないが、勤務していた学校に出かけていた。父が帰ってきたら一緒に遠くに借りていた小さな畑に行くことになっていた。
当時私は10歳。長男なので家の手伝いは全てやることになっていた。弟妹の世話、ご飯焚き、薪集め、畑仕事・・・・。
午後何時か知らないが、父が帰ってきた。そして、「畑に行くのはやめだ。」というと、ごろんと横になった。何があったのだろうかと訝ったが、私にしてみると、暑い太陽が照りつける中を遠くまで歩いて畑に行かなくてもよいのでホッとしたのを覚えている。
後で母から、「戦争に負けたのだ。」と聞いた。
父は、召集されて戦争に行く覚悟は決めていたし、その準備もしていたが、丙種合格で教師をしていたからか召集されないうちに戦争が終わった。
父が戦争をどう思っていたのかは私は知らない。戦争の現状とか行く末についてとか話を聞いた覚えはないからだ。だから畑に行くのをやめた理由も知らない。
家には真空管4球式のラジオがあったが、私は玉音放送のことは知らない。近所の人からも聞いたという話を聞かなかったから、誰も知らなかったのだろう。
戦争が終わり、もう毎日上空を飛行していたアメリカの飛行機が爆弾を落とすこともなくなるのだと思ったのは後のことである。
8月15日の思い出は、他愛のないものだが、何故か父が帰ってきた部分だけは鮮明に覚えている。
そして、行くはずであった畑にはカボチャが豊作であったことも思い出す。
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