「脳は出会いで育つ」から―③―ハイハイは大事
私の子どもを育てる頃は、歩行器というのが流行で「這えば立て」の親心を先取りしたともいえる、とにかく早く立たせたいというのが狙いであったように思う。今にして思えば子どもには悪いことをしたと忸怩たる思いだが、今更どうしようもない。
そんな歩行器による子育てがまだ行われていた頃読んだ本に、ハイハイが大事だと書いてある本があった。
その頃の子どもはハイハイを飛ばして歩かされるので身体の発達がいびつだというのである。そのためにある保育園では園児にハイハイをさせているのだということであった。
その本の著者によると、「個体発生は系統発生を繰り返す」のだそうで、ハイハイは爬虫類の時期に当たるのだということであった。
非常に強く印象付けられたのはそのことである。そして身体発達の面からハイハイが大事であると指摘してあったのである。
今度「脳は出会いで育つ」を読んで、ハイハイの大切なことが、脳の発達との関連で述べられていることがわかった。
著者は、「早く立った方が発達が早いのだろうと考えるのは大間違いだ」と言っている。「ハイハイをしないで非常に早くつかまり立ちなどをするのは脳に障害があるケースが多い」
「ハイハイをするのは、ロコモーションと言って、非常に重要で、人間だけができるのだ」と言う。「ハイハイは歩くための基本で、それを学習しているのだ」そうだ。
「このロコモーションは、非常に重要なことが最近になってわかってきた。その場所に行きたいという赤ちゃんの意思と意欲が入っているのだ。更に、その下に手足の動きにリズムができる。それは大脳の奥にある基底核が発達するにつれてそれができるようになる。」
「大脳の基底核は運動だけでなく、いろいろな精神的な脳の働きにも関係していることが分かってきた。運動だと思っていることが後の精神的な問題と直結しているケースがあるのだ」
私が以前読んでハッとした本には、前述のように脳については触れていなかったが、その頃の脳の研究段階からすれば当然のことである。しかし、ハイハイが大事であるという指摘は間違っていなかったのである。
これか赤ちゃんを育てるお母さんやお父さんには、是非ハイハイの大切さを認識して欲しいものである。
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