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2009年5月21日 (木)

アンチエイジング

 

アンチエイジング

文芸春秋20089月号

    話す人  堀江重郎(帝京大泌尿器科教授)

        聞き手  東嶋和子(とうじまわこ・科学ジャーナリスト)

 古い文芸春秋を借りたら興味深い記事を見つけた。アンチエイジングに関するインタビューである。以下は、それを基にした紹介である。大部分が引用であることを断っておく。

 キーワードは、活性酸素or酸化ストレス)とNO(一酸化窒素)である。 

1)寿命を決める要素

寿命を決めるのはテロメアというもので、「テロメア支配説」と言うのがあることを初めて知った。

老化は遺伝子にプログラムされているという説だそうだ。

染色体の先端にあるテロメアと呼ばれる塩基配列の部分が細胞分裂のたびに短くなる。最後には細胞分裂できなくなるので、テロメアが個体の寿命を規定していると考えられているのだそうだ。人の寿命は120年という説の根拠にもなっているという。

寿命が120年とプログラムされているとすれば120年頃には必ず死ぬことになるわけだ。これまで最高に長生きした人は、フランスの女性で、122歳まで生きたそうだ。

ではなぜ人は120年以前に死んでしまうのか?ガンなどの病気もあるが、老化が進むからである。

老化を早めているのは、「酸化ストレス(フリーラジカル)」だという説が有力なようだ。

大気中の酸素より反応が高い酸素を活性酸素といい、この活性酸素をはじめとするフリーラジカルが細胞をさびさせる。ところが、一方には活性酸素を分解する酵素(SOD:スーパーオキシドジスムターゼ)がある。哺乳類ではこの酵素活性と寿命が比例している。つまり、活性酸素を分解する能力が高い種ほど寿命が長い。

活性酸素が寿命の重要な鍵を握っていることがわかる。

酸化ストレスの原因となるのは、交感神経の持続的な興奮、高血糖、肥満、高血圧、男性ホルモンの減少、紫外線などである。

次に、活性酸素種による酸化ストレスとNOとの関係について述べる。

電子対がついた酸素を活性酸素という。酸素以外にも電子対のついたものがフリーラジカルと総称される。これらはDNAを傷つけたり、エネルギー工場であるミトコンドリアの働きを弱めたりする。その結果細胞の元気がなくなり、血管内皮細胞や神経細胞が傷ついてNO(一酸化窒素)が出なくなってしまう。

 つまり、活性酸素などフリーラジカルの働きである酸化ストレスによりNO

減少したり出なくなったりしてしまうのが問題なのだ。

 

 では、NOはどんなはたらきをするのか。

脳の神経シナプスの興奮伝達を調整し、シナプスの可塑性に関与する。また、循環器系では、血管を広げる、血流を増す、血圧を下げる、動脈硬化を防ぐ。さらに気管を弛緩させる、胃壁を守る、腎臓の利尿活動、腸の運動の調節、陰茎を勃起させるなど広範囲にはたらいているのだ。

この大事なNOが少なくなると老化につながるのである。

高血圧、動脈硬化、糖尿病など生活習慣病、ED,うつ、排尿障害など老化にともなうさまざまな障害や病気の原因となるのだ。

―つづく―

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※画像をクリックすると拡大

 野鳥写真家 山口氏撮影 鶴舞公園のオオルリ

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