講演:インフォ・プロ:デジタル時代の情報専門家とは?
4月15日、愛知国際プラザで開かれた名古屋アメリカン・センターと愛知国際交流協会、専門図書館中部地区協議会主催の講演会を聞きに行った。
演題は、「インフォ・プロ:デジタル時代の情報専門家とは?」で、講師は、SLA(米国専門図書館協会)代表のジャニス・R・ラチャンス氏であった。
講師のラチャンスさんは、クリントン大統領により連邦人事局(OPM)の局長になった人で任期中にこの職が閣僚職に昇格したそうである。法務博士で自分で弁護士だと言った。
大臣級の人だが、少し太ったおばさんといった感じの人で、気さくな人だという紹介の通りの親しみを感じる方であった。英語は明瞭な発音で丁寧に話された。
「インフォ・プロとは、インフォメーション・プロフェショナルの略で、情報資源や情報サービスの開発、配置、マネージメントを通して、情報を戦略的に利用し、母体組織の任務を遂行する。目標を達成するため技術を活用する。インフォ・プロには、ライブラリアンだけでなく、ナレッジ・マネージャー、CIO,web開発者、情報ベンダー、コンサルタントなども含まれる。」
アナログ時代にはライブラリアンだけであったが、デジタル時代になって幅広い情報分野が関係していることがわかる。
昨年来の世界的金融・経済大不況で、各種図書館、企業の情報資料室などの多くが予算の見直し、人員削減などを余儀なくされている。これは世界的に大きな問題である。
インターネットの普及、情報技術の進展は、扱う情報量や範囲がとてつもなく拡大し、インフォ・プロ(情報専門家)に求められる資質、能力も大きく変わってきている。
そうした中、この分野での人材の育成も急務となってきている。 また、個人としても情報をきちんと選択し処理する能力が求められる。
信頼できるネットワークの活用と信頼できる人から学ぶことも大事だと言っていた。
面白かったのは、ある人が「ムーディーズやS&Pなどn格付け会社の信頼が地に落ちたとこをどう思うか。」と質問したことだ。私が昨日書いたことと同じことを思っていることが分かった。
それに対して、ダブル・チェック或いはトリプル・チェックをして信頼性を確認することが大事だと言っていた。
また、インターネットの活用によって、短時間の間に探していたものの情報が遠い国の人から届いた例を話していた。自分が求める情報を世界を相手に探せる時代なのだから大いに活用するとよいのだ。
Googleがやろうとしている世界の図書館の情報を公開する仕組みについてもその利点と著作権などの問題点を指摘した。i-podによる音楽のダウンロードについても同じようなことがあると言った。
図書館に印刷された書籍として並べられ、図書記号とカードによって知識の分類がされていた時代がついこの間のことである。
今やインターネットやPCや携帯電話などの普及で情報についての概念が全く変わり、対処方法も全く変わってしまった。そういう面でもアメリカは世界の先端を行っていることを覗わせる講演で予想に反して興味深い講演であった。
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その通りだと私も思います。特にアメリカ、イギリス、ロシアには強大な情報エイジェントがあるようですから、おそらくこのblogのようなちょっとしたものまでもチェックしていることだろうと思います。インターネットの怖さですね。
投稿: らら | 2009年4月19日 (日) 13時50分
情報は強大な国家権力に寄って操作される場合が有ることをかんじます。
大量破壊兵器の保有を理由にアメリカはイラクを攻め、各国もそれに協力しましたが、実際には大量破壊兵器は存在しませんでした。
アメリカは石油の安定供給のためにフセイン政権が邪魔だったとしか考えられません。
大国は情報を操作し目的を達そうとするとすると其の国発の情報はダブルチェックしてもトリプルチェックしても総てが終わるまで分からないと思います。
今度の経済危機も景気を刺激してバブルを起こし、各国を巻き込み、アメリカ発経済危機を起こしたには何があるでしょう。
投稿: maron | 2009年4月18日 (土) 23時30分