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2009年3月19日 (木)

うつくしく、やさしく、おろかなりー私の惚れた「江戸」を読んで (5)

 年収200万円以下の人が1100万人以上となり、 世界的経済不況の下で更に増加するものと思われる。

 今の時代、年収200万円以下ではかなりきついし、家族があれば生活保護世帯以下の場合もあるといわれる。

 江戸では、「宵越しの銭は持たない」と言われたが、前にも書いたように妻子の口を何とかすればよしとされていた。

 江戸では、僅か1/6の面積に100万~120万人の半分を占める庶民が暮らしたので、長屋住まいで押入れも無い4.5畳一間と土間だけの住居だったという。

 杉浦氏は「ライフスタイルは、『三ない主義』と言って、三つがない。」と書いている。

 一つは、モノをできるだけ持たない。

 二つ目は、出世しない。

 三つ目は、悩まない。

 調査した機関を忘れてしまったが、世界で一番家の中の物の種類と数が多いのは日本人だそうだ。それは現代の話で、しかも、調査が行われたのはバブルの頃だったからそうなるのも当然である。今ならある程度は少なくなっているだろう。

 それにしても、僅か100数十年前までは、家財道具は必要最小限度で暮らしていたのだ。足りないものは、お互いに貸しあっていたことは落語にも出てくる。

 江戸の人は、何でも徹底的に使い尽くしたと言われる。この頃ではなくなってしまった”繕う”ということが当たり前であったし、他の用途に転用して行くこともしたので江戸ではゴミが殆ど出なかったそうだ。

 最後は燃えるものは燃やして肥料にでもすれば完璧である。

 年収200万円時代になっても、江戸の生活をすれば何とかなると言いたいのではない。そんなことを言うと企業や政府の思う壺になってしまう。

 ただ、江戸人が264年間の太平の間に培ってきたライフスタイルに驚くのである。

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コメント

 自然の摂理に従って生きている人たちは、物が少なくても豊かな生活をしていたのではないかと思います。
 アフリカのある民族は(場所を忘れました)土で作った小さな家、炊事道具が数点で世界で一番持ち物が少ないのです。
 我々から見たら極貧ですが、彼らはそうは思っていないのです。
 金が必要な仕組みに組み込まれてから不幸になたのかも知れませんね。

 ららさんの江戸時代のレポートを読んでいて、身の回りに江戸時代をたくさん目にする。
 刺激されて書きたいことがいっぱいあるが、今日の記事に関連して一つ。
 タイの高床式の農家は6メートル×9メートル一間が基本である。
 私が最初にホームステーした家は100戸ほどの部落の上の下だが、一角に仕切った4.5畳ほどの寝室にベッドが一つと衣装戸棚、大部屋に衣装戸棚と本箱がひとつあるだけだった。たまたまこの家の亡くなった主人が医者(坊さん)だったので本がたくさんあった。
 これが農村の標準的な家庭だったが、その後テレビが普及し、消費物資が売り込まれている。しかし、家財が少ないから貧しい生活ということでもないように思う。
 タイ人は自分たちは「貧乏」というが、使い捨て文明が入り込んでいる現在、一見貧乏に見えるが意識は、金持ちにグローバル化されてしまっている。
 貧乏だからテロに走るというが、貧乏に適応できる生活を破壊し、現金を必要とする状況を強いるから問題が多発するのではないか。
 金がすぺてを解決するのではなく、生活の知恵で問題を解決できる世の中にしないと、物があって心なしの世の中になってしまう。
 

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