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2009年2月12日 (木)

芥川賞ポトスライムの舟を読む

 2月10日の朝日新聞朝刊に、1頁と1/4頁の大きな文芸春秋の広告が出た。1ページの大半は「芥川賞発表」と大きな字で書いてあり、若い女性作家・津村記久子の写真があり、受賞作のタイトル・「ポトスライムの舟」が書いてあった。

 コピーは「派遣世代の新しい文学誕生!」で、選者の一人、山田詠美さんの「『蟹工船』よりこっちでしょう」という評が載っていた。

 芥川賞の発表でこれほどの広告はこれまでなかったように思う。広告の大きさと山田さんの評につられて文芸春秋を買おうと思った。

 書店に行って中をぺらぺらとめくった。他にも読みたくなるような記事があったので買って帰った。

 「ポトスライムの舟」は、まさに今の世相の一部を切り取ったものであった。「蟹工船よりこっち」かどうかは、読む人の好みだが、”今”の”旬”なテーマではある。

 それに筆致もテーマもこれまでの受賞作品のわかったようなわからないようなものではなく、淡々と日常の生活を描いているし、文章も平易である。

 主人公は、流行の言葉で言うと”アラサー”で、母親と一緒に住む独身女性である。ナガセといい28歳から30歳までの間に身辺に起きた出来事を描いている。

 大学卒のナガセという女性は、ラインを流れてくる乳液のキャップを締めてキズをチェックするという単純作業をして給料は13万8000円得ている。その他に同級生が経営するスナックでバイトをし、週末には、パソコン講師もしているという、どこにでもありそうな勤労女性である。

 他にはりつ子とひさ乃という二人の同級生と同僚の岡田という女性の離婚を含めた家庭問題が描かれる。

 ポトスはナガセが何となく育てている観葉植物で、それがエピソードを繋ぐ糸のようにあしらわれている。

 私には、作品や作家の力量を評する文学的素養はないから、ただ楽しんだだけであるが、派遣や非正規社員問題や離婚などの今起こっていることを、しかも、ごく普通の人の間で起きていることを題材としていることに拍手を送りたいと思う。

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